SOBUT

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SOBUT

パンクの面白さを知りたければ迷わずにGET。
退屈な日常をフッ飛ばすキッカケとなる勢いを信じよう!
SOBUTは止まらない、「NO ROCK, NO LIFE!」

(初出『Groovin'』2001年9月25日号)

SOBUT-A.jpg ロックだとか、パンクだとかをやっていく上で忘れちゃいけないのは初期衝動だろう。初めてギターを持った時、初めてスタジオで音を出した時、アンプを通した音にガツンとなった時、初めてステージに立った時…SOBUTの4thアルバム『MAXIMUM CULTURE』は、そうした初期衝動を覚えている者にしか作れないアルバムだ。どこまでも真っ直ぐで、なのに決して荒っぽいだけではない。突っ走るだけで後のことを考えないわけじゃない。気付けばSOBUTはとてつもなく成長していた。
 今回のアルバムに収録されるのは全13曲。パンク、ハードコア、ロックン・ロールが至る所にちりばめられている。先行シングル『SOBUT×WE GO!』は英語ヴァージョンで収録されるほどの懲りようだ。これが凄まじい疾走感!バンドとしての意気込みやヴィジョンが明確に表現され、また、聴く側にとってもその力強さは顕著に感じとれる。アルバム全編にその気合いが脈々と流れている。もちろんパンクスらしく、国や社会といった「大きなもの」への憤り、馴れ合いだらけのシステムに対する警鐘も時には歌われている。「大きなもの」にどうしたら打ち勝てるのか、そんな風に悩む自分の姿まで赤裸々に歌う。手元の資料には全部の歌詞はないのでハッキリと断言は出来ないが、ほとんどが今までどおりの英語詞。日本語では言いにくいようなことも、英語詞ならば幾らか表現を婉曲化できる。だからこそ本当に伝えたいことはストレートに表現できるわけだ。対訳(かなり意訳だが)を読んでみると、そこに幾度となく著されるのが「go(=ブッちぎろうゼ!、止まっちゃいられねえ!)」、「you(=オマエ、オマエ達)」の2つだ。SOBUTの音は独裁的ではない。「みんな」とか「全部」、自分の周りと塊になって進んでいく強い感じ。リスナーの気持ちをも奮い立たせてくれるほどに。
 1stアルバム『KICKIN' YOUR HEAD』が発売されたばかりの頃、そのCDを聴いて、新しいパンクの時代が始まる予感がした。王道ばかりでマンネリ化しつつあったシーン。そこに鮮烈に登場したSOBUT は、ユース・カルチャーを味方につけたことで更に存在価値を高めていったのだ。
 また、彼らについて触れるべきは、ファッション性の高さだろう。70年代ロンドン・パンク直系の風貌、スパイキーとスタッズ・ベルト、細身のジーンズやDr.マーチンのブーツ。そういったセンスはストリート系ファッション各誌で紹介され、若者の文化を牽引し続けている。彼らは、音楽とファッションの関連性、それに伴う生活感覚、一般的にいうユース・カルチャーの体現者なのだ。例えばギターのMOTOAKIは数年前に、奥さん川村かおりとの写真集を発刊、"現代版シド&ナンシー"とも冠されそうなほどスタイリッシュな側面を見せている。私生活まで公開できるほど備わったセンスの良さと、揺るぎない自信…自ずと産み出されるSOBUTの魅力だ。
 『MAXIMUM CULTURE』(最大・最高の文化)という今作、まさにSOBUTというバンドを総称するのに相応しいタイトルがついた。その感覚に拍手したい。

Text by 関口雅代(スーパーモールいせさき店)

『MAXIMUM CULTURE』
SOBUT-J.jpg




CD
TRIAD/日本コロムビア
COCP-50645
¥2,913(税抜)
9月26日発売

パンク、ハードコア、ロックン・ロールを軸に据え、全方位に向けられたSOBUTの4thアルバム。今までの路線を踏襲しつつも更に成長を遂げた出来となった。スタイルそのままにパンキッシュな全13曲、止まっちゃいられないほどハイ・スピードな音に置いていかれないよう、要注意です。

【SOBUT OFFICIAL WEB SITE】http://www.sobut.com/

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