エルトン・ジョン

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エルトン・ジョン

現代ミュージック・シーンの至宝、エルトンとバーニーが織り成す音世界は、
ニュー・アルバム『ソングス・フロム・ザ・ウエストコースト』で、
また新たな伝説を作り出そうとしている。

(初出『Groovin'』2001年9月25日号)

エルトン・ジョン-A.jpg 僕が中学生になり立ての頃、洋楽を聴き始め、ビルボードのチャート番組でめぐり会ったビーチ・ボーイズやカーペンターズなどの王道アメリカン・ポップスを、ラジオからテープへダビングしては、好んで聴いていた。ある日、そのTOP40をオンエアする番組で、あるアーティストのアルバムが今までに無い快挙を成し遂げた、とアナウンスしていた。それがエルトン・ジョンの不世出の名作『キャプテン・ファンタスティック』だった。今ではそれほど珍しくも無くなった初登場全米1位を、初めて獲得したのが彼だった。そしてそのラジオから流れる、初登場NO.1アルバムからのリード・トラック「僕を救ったプリマドンナ」を耳にしたとき、僕は彼の紡ぎ出す楽曲の虜になった。
 それから25年余りの月日がたったにもかかわらず、彼はミュージック・シーンの第一線で活躍し、なんと今年の11月にエルトン・ジョン・バンドとして久しぶりの来日をしてくれる。とにかく四半世紀もの間作品をコンスタントに出しつづけ、僕の耳を幸福で満たしてくれていると言う事実は、エルトンを初めて聴いたあの13歳の頃には想像もしていなかった。
 そんな彼の久々のオリジナル・アルバムが完成した。エルトンの"ベター・ハーフ"であるバーニー・トーピンが書き下ろした、80にも及ぶ詞の中から厳選されたナンバーをロサンゼルスでレコーディングしたこのアルバムは、タイトルの『ソングス・フロム・ザ・ウエストコースト』が示しているように、L.A.レコーディングと言うことだけではなくて、彼が70年代にイギリス生まれのピアノ・マンとして、深い憧憬の眼差しで見つめていたアメリカが、このアルバムに詰まっているような気がする。それは1stシングルの「アイ・ウォント・ラヴ」や、「ディス・トレイン」などで聴かれるように、郷愁に満ち溢れた繊細さを奥行きのあるメロディで包んで搾り出していて、あの名作「グッドバイ・イエロー・ブリックロード」に通じるランドスケープが見事に描かれている。エルトンのミュージック・キャリアは年齢的なことから終わりが近くなっていると言われているが、こんな素晴らしいアルバムを届けてくれるのなら、まだまだ彼の歌声は世界を駆け巡るに違いない!

Text by 五味渕雅之(朝霞店)

『ソングス・フロム・ザ・ウエストコースト』
エルトン・ジョン-J.jpg




CD
ユニバーサル インターナショナル
UICR-1015
¥2,427(税抜)
9月27日発売予定

エルトンのセンシティヴなメロディー・ラインとバーニーの豊かなリリシズムが融合した大傑作!彼らにしか描けない世界が見事にこのアルバムに昇華されていて、70年代の頃のエルトンのような、イギリスのピアノ・マンから見たアメリカへの憧憬の念が溢れている。

【ユニバーサル ミュージックによる公式サイト】http://www.universal-music.co.jp/u-pop/artist/elton/

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