編集長のおすすめ!

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 今月は少しゆとりを持って、じっくりと次の3タイトルをご紹介しましょう。まずはJ-POPSの新譜から。最近はELOの新譜『Zoom』もリリースされ、にわかにジェフ・リンが話題となっていますが、そんな中、日本のジェフ・リンとも称される永井ルイが、初のソロ名義によるアルバムをリリース!永井ルイという名前を聞いてピンときた方、かなりの音楽通です。それからあのタンポポの「乙女 パスタに感動」の中に隠されたELO的サウンド・エッセンスを聴いて「うっ、これは!?」って思われた方、さすがです!そう、あの「乙女 パスタに感動」やミニモニ。「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」などのレコーディングでほとんどの楽器を手がけているのが、この永井ルイ。そのマルチ・プレイヤーの彼が満を持して、遂にソロ名義での作品を発表。ポップでメロディアスな彼の持ち味は本作でも十二分に発揮され、しかもそこに伝統的ブリティッシュ・ロックのサウンド・アプローチを無理なく加えることで、一層煌びやかな作品に仕上げた会心作です。ジェフ・リンやELO、そしてビートルズ好きにはもちろん、普段洋楽しか聴かないというような方にも是非お薦めしたい1枚です。ちなみに僕のお薦めは、美しいミディアム・バラードのM-3「World Turning」。もちろん全パートを彼1人で演奏した本作からは、先人へのリスペクトとロックやポップスへの深い愛情が痛いほど伝わってきます。
 続いてご紹介するのは、Cymbalsやつじあやのなどのマネージメントも手がける人気のレーベル"LD&K"の興味深いコンピ。『killermont street 2001』と題された本作は、CymbalsやAdvantage Lucy、米山美弥子のソロ・ユニット"CITROBAL"など総勢15組が参加して完成した豪華な内容で、しかもCymbalsやAdvantage Lucy、CITROBAL、JET LAG、Sylvia55、Apila、polyABCの7組は新録楽曲を収録。特に90年代以降のJ-POPSシーンに大きな影響を与えたネオアコやギター・ポップに再びスポットを当て、企画された本作には、煌びやかでちょっと青くて、繊細でありながら大胆で瑞々しさを備えた良質な楽曲が満載です。お薦めはやはりCymbalsの「(Love Is Like) A Heat Wave」のカヴァー。かつてのコレクターズのヴァージョンと聴き比べるのも面白いかも。
 そして洋楽からはレムリアを。最近は小野リサの新作『Bossa Hula Nova』やそこでも共演を果たしたテレサ・ブライト、さらにはヒーリング・ブームも手伝ってハワイのサウンドがブームとなっていますが、本作『レムリア』はテンダー・リーフと並び称される、ハワイアン・フリー・ソウルの名盤。遂にCD化です!この『レムリア』はクラブ・シーンでも人気の1枚で、元カラパナのカーク・トンプソンが中心となって結成したバンドの唯一のアルバム。多数のホーン・セクションや、カーティス・メイフィールドのグループでも活躍したマスター・ヘンリー・ギブソンがパーカッションで参加するなど、大人数の興味深いメンバーで構成されたこのレムリアは、何と言ってもグルーヴ感溢れる演奏が最大の魅力。なおCD化に際して3曲のボーナス・トラックも追加されています。ファンの間では貴重盤として知られていたこの『レムリア』が、こうしてお手軽に聴けることに心から感謝です!

Text by 土橋一夫(編集部)
(初出『Groovin'』2001年9月25日号)

永井ルイ
『オーパーツ』
永井ルイ-J.jpg
CD
STRANGE DAYS LABEL
SLD-1209
発売中
¥1,905(税抜)

VA.
『killermont street 2001』
killermont street-J.jpg
CD
LD&K
37-LDKCD
発売中
¥2,200(税抜)

レムリア
『レムリア+3』
レムリア-J.jpg
CD
ドリームズヴィル
YDCD-0065
発売中
¥2,200(税抜)

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