ARTIST PICK UP
hyde
早くも第2弾シングルをリリース!今回もバラード!
新レーベル「HAUNTED RECORDS」から発信され続けるソロとしての試みが、
確かな手応えとともに、新たな世界を完成させる!
(初出『Groovin'』2001年11月25日号)
新レーベル「HAUNTED RECORDS」を設立、ソロ・ワーク第1弾シングルとしてこの10月に『evergreen』をリリースしたhydeが、早くも第2弾シングルをリリースする。このペースの早さに、彼の今回の試みに対する思いの深さと強い意気込みを感じてしまうのは私だけでは決してないだろう。
多くのミュージシャンがバンドを離れ、またはバンドと並行してソロ活動を行う目的は何か。言うまでもなくそれは「ソロでしかできないことをやるため」だ。やりたいことは必ずしも1つとは限らない。趣味嗜好が十人十色なように、ある1つのことを何人かで共に行っているとしても、一致する部分としない部分がある。いわゆる「方向性の違い」で解散してしまうバンドが多い昨今であるが、その中である程度の長いキャリアを持ち、安定した活動を続けていくためには、それぞれの考えややりたい事ができうる環境が必要だ。バンドとして安定していなければ全てが中途半端になってしまう。そしてソロ活動を行うことによって得られた自信がバンドに還元され、より一層音楽の幅が広がればそれは最も理想的なことだ。世界を広げることはどんな分野においても大切なことだし、外へ出ることで自分が存在する「その場所」を眺めてみて改めて気づくことも多い。
L'Arc-en-Cielというバンドとしてはとうに確固たる地盤を築いていた彼らがソロを始める時期はもっと早くてもよかったような気もするが、彼ら自身が「一番いい時期」としてこの新世紀最初の年を選んだとすれば、まさに「機は熟した」のだろう。
早速の2ndシングル『Angel's tale』だが、hydeは今回でもまたバラードを出してきた。バラードを続けて発表すると、良くも悪くも前作と比べられる。普通だとここでメリハリをつけようとミディアム・ナンバーを持ってくるか、思い切りハードな曲にしそうなところだ。しかしながらここへきてまたもやバラード。この自信の大きさと強気の姿勢が、「彼らしさ」であるといえば確かにそうだ。常に予想を大きく裏切りながら、期待にはしっかり応える。いや、期待以上のものを我々の目の前に差し出してくれていると言っても言い過ぎではないだろう。そして、今回の『Angel's tale』もまた、前作同様日本語詞と英語詞の2曲入りだ。日本語詞の「Angel's tale」は、時期を見越してか、クリスマスの雰囲気も感じられて、じっくりと聴かせている。打ち寄せる波のように繰り返されるピアノの調べと、それに重なり合うhydeの歌声が、まるで広い草原を揺らす風の音のようにも聴こえる。そして英語詞の「Angel's tale -english ensemble-」は、ジャズ風のピアノに合わせて、そんなピアノにもたれるように響く歌がなんとも居心地のいい空間を作り出す。とても広い場所にある大きなグランド・ピアノと、その傍にたたずむ彼の姿までが浮かんできそうな今作を目の前にして、先程「またバラード」などと言ってしまったことを後悔してしまいそうな、完成度の高さだ。
前作、そして今作を受けて、改めて「hyde」というアーティストの厚みを思い知らされた。この流れで、またすぐ「次」を期待してしまうが、彼らしいスピードとタイミングでまた我々を唸らせるのだろう。あらゆる意味で、今後いっそう注意をはらっていきたいと思わせる今作に改めて脱帽、だ。
Text by 二宮万里(編集部)
『Angel's tale』
CDS
HAUNTED RECORDS/Ki/oon Records
[初回盤]KSDL-1224
[通常盤]KSCL-424
¥971(税抜)
12月12日発売
『evergreen』も好調なhydeの新作は、前作に続き珠玉のバラード!今作もロンドンでレコーディングを行い、フル・オーケストラをフィーチャー。冬の装いに色を添える美しい調べと歌声に酔ってしまうこと必至。今回も初回盤は、初回限定特別ケース仕様!(通常盤は12cmのマキシ仕様に換わります)
【HYDEIST】http://www.hyde.com/index2.html