ハックルベリーフィン

ARTIST PICK UP

ハックルベリーフィン

気取らない、飾らない、カッコつけない。
音楽が好きならそれでいいんじゃないのかな。
「素朴なカンジ!」って最高の褒め言葉だと思いませんか?

(初出『Groovin'』2001年11月25日号)

 近頃ますます、インディーズが再評価されている。「これはもう一過性ではないな」と勝手に推測したりするのだけれど、半ば希望でもある。なぜってインディーには本当に素晴らしい音を作るバンドがたくさんいるから。ハックルベリーフィン、彼らもその1つで、この『ハリケーン』でメジャー・デビュー!こういうのをJ-POPと括ってしまっていいのかなぁ、勿体ないような。音楽を人に紹介する時に、ジャンルであるとか「〜っぽい」っていう形容は便利だけど、何か物足りなくていろいろな言葉を模索するわけで。でも出てくるのは「とにかくいい!」っていう単純な言葉だけ。もっと伝えたいことがたくさんあるのに! 
 彼らは埼玉在住のスリーピース・バンド。気の合う3人がたまたま音楽好きだった、というだけあって楽曲の質の高さは文句なし。ポップな曲展開の中に、ギターのカッティングがつくる軽快なリズムとやや鼻にかかる歌声と、女の子のココロをくすぐる絶妙な取り合わせ。切ないオトコゴコロを明かす、佐久間勉(Vo.&G.)の書く詞世界も冴えている。前作『青春ボディーブロー』(インディーでのリリース)ではライバルと競いあう姿をボクシングに設定しているのだが、本人ボクシングの経験はないそうで。空想や期待ばかりだけれど、突飛でない、普通っぽさが鮮烈な印象となっている。これはもうキャラクター性とでも言おうか。特異体質の成せるワザ。
 その特異体質は今作においても十分に発揮されている。掻き鳴らされるギターの音が広いスペースを生み出す。まるで大陸、大海原のように。「ぼくは今 荒波に舟を出す」と歌う情景がピッタリくる。「先へ進みたい」「恐れるものは何もない」と主人公は繰り返しながら目的に向かってトライし続ける。聴いている側が熱くなってしまうくらいに。事実、勇気づけられる人もいるんじゃないのかな。あたたかい内面と素朴な言葉に。
 メンバーは前出の佐久間と山口剛幸(B & Cho)、幸彦(Dr & Cho)の兄弟。実家で八百屋を営む山口家の野菜配達車を機材車として走り回った、全国26カ所のツアーも経験済み。あとはもうふりかえらずに前進あるのみ!か?

Text by 関口雅代(スーパーモールいせさき店)

『ハリケーン』
ハックルベリーフィン-J.jpg




Maxi Single
キングレコード
KICM-1050
¥952(税抜)
11月29日発売

下北沢のライヴ・ハウス育ちと言ったら、音の想像がつきやすいかも。"世界一素朴な3人組"と評される、決して期待を裏切らない、優しくてあたたかいバンド、いよいよデビュー! 勇気がモクモクと湧いてくるステキな魔法の1曲です。

【ハックルベリーフィン 公式サイト】http://www.huckle-f.com/


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