コブクロ

1stアルバム『Roadmade』も好調、
初ワンマン・ライヴでも大成功を収めたコブクロの最新作が完成。
「ほっと心が温かくなる」「せつなさが染み入る」両A面ラヴ・ソング。

（初出『Groovin'』2001年11月25日号）

　9月22日渋谷公会堂。暑さのまだ強く残る日の夕方。その場所は、彼らを「待っていた」人たちで溢れていた。私もまた特別な気持ちでそこにいた。彼らの音楽に出会い、私も励まされた1人であったし、その後仕事を通じて彼らに出会う機会にも恵まれた。1つ1つの質問に丁寧に答えてくれる彼らの人となりに触れたことで、より一層彼らとその音楽を近くに感じ、もっと好きになった。
　そして私にとって初めて彼らの音楽を生で聴くことができる記念すべきその日が、彼らの渋公初ワンマン・ライヴでもあり、始まる前から妙にそわそわ落ち着かなかった。いったいどんなステージを見せてくれるのだろうか。ストリートから出てきた彼らがこの会場をどんな"歌う場所"に変えるのか…。
　そのステージで「今日初めて発表します」と彼らが口にした曲。それが今回の「YOU」だ。彼らがこの曲を歌い出した時、初めて聴いたはずなのに、会場全体がなんともいえない温かい空気でいっぱいになった。ずっと昔に感じた、とても懐かしい空気だった。
　「YOU」は、「YELL〜エール〜」「轍-わだち-」と続いたいわゆる「応援ソング」から一変してラヴ・ソングなのだが、やはりそこにはコブクロらしく温かいメッセージが込められている。「ラヴ・ソング」といっても、1stアルバム『Roadmade』を聴いた人や彼らをずっと好きな人からしてみれば特に驚くようなことではないのかもしれないが。
　笹路正徳のアレンジメントによるストリングスと、ホルンやハープの美しいイントロダクションで始まるこの曲。心の向くままに思いを綴った歌詞が、優しいメロディーに乗って、優しい気持ちにさせてくれる。そして今回、両A面の「miss you」、C/Wの「海に降る雪」と、1枚すべてがラヴ・ソングだ。こういった曲が今後新たなコブクロのスタンダードになることは必至だろう。
　彼らの曲を聴くと、いつも頭の中に懐かしい景色が浮かぶ。そんな音楽にはなかなか出会うことができない。きっと彼らの人柄が、そのまま音楽に反映されて心に届いてくるからだろう。2002年のライヴも決定している彼らに、また会いに行きたいと思う。

Text by 二宮万里（編集部）