スティーヴ・レイマン

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〜天使が舞いおりた〜それはまさに"ヒーリング・ピアノ"。
優しくあなたの心の扉に触れるメロディ。

(初出『Groovin'』2001年12月25日)
Text by 鮎川夕子(編集部)

 ヒーリングという言葉が頻繁に使われるようになってから随分経つが、単純に身体を癒すことなら簡単だと思う。時間なり、お金なりで、ある程度解決できるからだ。しかし私たちが本当に必要としている心の癒しは、そうやすやすとは手に入らない。
 スティーヴ・レイマンはカナダ出身の自然派ピアニスト。ピアノを音楽の道具として選ぶミュージシャンは多いだろう。しかし彼は、自分の心を表現する方法としてこの楽器を選んだ。多分それは、私たちにとって言葉のようなものかもしれない。事実、彼のピアノはいつも"語って"いる。それもとびきり優しい物語を…。また、その旋律に身をゆだね、音色に包まれた瞬間、訳もなく涙が流れたいう人を私は何人か知っている。深い癒しをほどこされた時、人の心は自然と浄化されるのかもしれない。その証が涙だとしたら…もしかしたらスティーヴ・レイマンという人は、ミュージシャンというよりも、もっと別の役割を持って生まれてきたのではないか?とさえ思うのだ。
 そんな彼の音楽だが、誤解しないでほしいのは、決して仰々しかったり、押しつけがましかったり、といった種類のものではないということ。それどころか、淡々と、優しく、まるで安らかな時の流れを運んでいくようなピアノの旋律は、私たちをやわらかく包んでくれる。
 今作『フレグランス』は、彼が今までに発表した3枚のオリジナル・アルバム『ノーザン・ライツ』『ピュア・ウォーター』『ドリームス』から厳選した楽曲に加え、ボーナス・トラックとしてオーケストラ・ヴァージョンの2曲を収録した、スペシャル・ベスト。彼の音に初めて触れるという人にとっては、打ってつけの内容である。
 風がそよぐように、小川が流れるように、柔らかく流れていくメロディは、私たちリスナーにいろんな風景を見せ、心安らぐ香りをそっと運んできてくれる。さあ、目を閉じて、彼のピアノの音色に包まれてみてほしい。あなたにはどんな景色が見えるだろうか?そして、その中で感じる香しい空気が、彼の音楽が私たちにほどこした"癒し"なのかもしれない。

『フレグランス』
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CD
サウンド・デザイン
SDHL-1008
¥2,667(税抜)
発売中

カナダ出身の自然派ピアニスト、スティーヴ・レイマンが今までに発表した3枚のオリジナル・アルバムから厳選した楽曲に加え、ボーナス・トラックとしてオーケストラ・ヴァージョンの2曲を収録した、スペシャル・ベスト。心やすらぐピアノの音色を、ぜひ体感してほしい。

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