マノロ・カラスコ

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ヌエヴォ・フラメンコの旗手、天才美形ピアニスト、マノロ・カラスコ。
驚異のフラメンコ・スペクタクル「ダンス・アンダルシア」の
ステージ演奏曲を集約した情熱の1枚!

(初出『Groovin'』2001年12月25日)

 「フラメンコ・ピアニスト」と聞いて、まず驚いた。フラメンコと言えば、一般的なイメージはギター。ピアノのフラメンコなんて聞いたことがない。本国スペインから送られてきたパンフレットによると、ピアノを弾くアイドル!といった感じで、とにかく国民的な人気を得ているらしい。掲載されたコンサート会場の写真にはなんと馬が写っているし、公演も野外で大々的なものが開催されているようだ。一体マノロ・カラスコとはどういうアーティストなのだろうか?
 今、スペインでフラメンコの新しいムーブメントが起こっているという。"ヌエヴォ・フラメンコ(新しいフラメンコ)"と呼ばれるこの流れは、ジャズやR&B、クラブ・ミュージックなどの影響を受けた、いわば従来のフラメンコに対する"ニュー・ウェイヴ"なのだそう。そのヌエヴォ・フラメンコの担い手が、"アンダルシアの伊達男ピアニスト"、このマノロ・カラスコ。クラシックを徹底的にマスターしたというマノロのリズミカルなピアノのタッチには、DNAに組みこまれたフラメンコの天性の素質を感じる。複雑で、しかも守るべきルールがあるフラメンコのリズムを正確に、そして強靭に鍵盤から叩きだす。それはこれまでに聴いたことがない衝撃の音楽だった。
 本作『ダンス・アンダルシア』は、彼にとっては、日本で発売される2枚目のアルバムであり、タイトルからお気づきの方もいるだろうが、2002年1月に日生劇場で上演されるフラメンコ・スペクタクル「ダンス・アンダルシア」の音楽を収録したものである。中でも、太陽の光を思わせる明るいナンバー「エントレ・ドス・マーレス」は、この舞台のテーマ・ソングとして、早くからテレビでもオンエアされているので、すでにおなじみだろう。また、いかにもフラメンコ的な、情熱的なアップ・ナンバーの「ルス・デ・ミ・ティエラ」「シェリー」ではチック・コリアばりのテクニックを披露。ロンドン・ロイヤル・フィルと共演することで、大きなスケール感を出した「愛のアンダルシア」や、美しいバラードの「グロリア」などは、P・モーリアやR・クレイダーマンといった往年のイージー・リスニング・ファンにも充分にアピールできそうだ。そんな幅の広さもマノロ・カラスコの音楽の大きな魅力のひとつだろう。

『ダンス・アンダルシア』
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CD
ポニーキャニオン
PCCY-01552
¥2,667(税抜)
発売中

2002年に行われるフラメンコ・スペクタクル『ダンス・アンダルシア』のステージで演奏される楽曲を収録したアルバム。彼の演奏はフラメンコの域を超え、ピアノ楽曲としても聴きごたえのある内容に仕上がっている。"ヌエヴォ・フラメンコ"の担い手、マノロ・カラスコの幅広い音楽性を体感して欲しい。

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