岡本真夜

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岡本真夜

岡本真夜の活動再開第1弾シングルは、
バースディ・ソングのスタンダードとなるであろう幸せあふれるポップ・チューン。
休養して、充電して、やっぱり素晴らしい音楽を届けてくれた彼女に再び注目。

(初出『Groovin'』2001年12月25日号)

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 岡本真夜という人は、とても洗練された自然な生き方ができる人なんだと思う。どんなにCDがヒットしようとも、どんなに有名になろうとも、いつも彼女はこちら側にいてくれる。もちろんCDの売れ行きや有名であることを全く気にかけないわけじゃないだろうが、少なくとも僕からは、彼女の意識がその点には向いていないように思われる。女性を中心とした多くのファンは彼女のそんなところ、つまり、決して気取ったところがなく、常に等身大の自分を歌い続ける姿勢に共感を覚えるのだろう。そうして常に自然体を貫いてきた彼女が、今回初めて少し長めの充電期間を取り、そのことが彼女の今後の音楽活動にどのような影響を及ぼすのかはとても興味深いところであった。
 今年の春からラジオのパーソナリティーを務めたり、CMへ楽曲を提供したりと徐々に活動を始めていた彼女だが、ここへきてとうとう活動再開後第1弾となるシングルをリリースした。昨年はデビュー5周年を記念し、初のベスト盤『RISEⅠ』やDVDのリリースもあったが、シングルのリリースとしては99年7月の「この星空の彼方」まで溯らなければならない。実に2年半ぶりのシングルということになるのだから、まさに待ちに待った新曲といったところだ。
 さて、そんな彼女の新作はNHK「みんなのうた」でもオンエアされ、スタンダードなバースディ・ソングとして幅広く愛されるであろう「ハピハピ バースディ」と、切ないほどにしっとりと綴られたバラード「愛しい人よ〜remember me〜」の両A面シングル。さらに初のインストゥルメンタル「snow field」を加えた、バラエティに富んだ内容である。
 「ハピハピ バースディ」は、実は10年前に作られた、自身の思い入れも強い1曲。好きな人だけでなく、自分にとって大切なすべての人に向けた優しさ溢れるラヴ・ソングは、彼女ならではの明るくきらびやかなポップ・チューン。聴き手を勇気づけてくれるような曲を作るのがうまい彼女の本領が発揮された、心が暖まるポジティヴな曲である。
 また、日本でも今年の10月から公開されている韓国映画「リメンバー・ミー」のイメージ・ソングとして作られた「愛しい人よ〜remember me〜」は「Alone」にも似たスケール感の大きさを感じさせる流麗なバラード。ポップな面とは対照的に、パセティックな感情をしっとりと歌い上げるのも以前から彼女の得意とするところである。
 そして初のインストゥルメンタル・ナンバー「snow field」は、幼い頃から慣れ親しんでいるピアノをメインにした曲。美しい旋律はタイトル通りの白い雪原を思わせる。
 僕は彼女の曲からはいつも献身的な思いやりを感じる。それは喜びや幸せをかみしめるだけでなく、その喜びこそ多くの人に分け与えられるべきだといった種類の思いやりである。「ハピハピ バースディ」のポップな面と「愛しい人よ〜remember me〜」のシックな面。タイプこそ違うが、どちらもが彼女の音楽の中心を占めるものだ。さらにその深い部分が実はそんな思いやりでつながっていることを、休養期間を経た今作で彼女は気付かせてくれた。リフレッシュして充電した彼女は、さらに深く豊かになった音楽をこれからたっぷり聴かせてくれることだろう。

Text by 足立進也(秦野店)

『ハピハピ バースディ/愛しい人よ〜remember me〜』
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Maxi Single
徳間ジャパン
TKCA-72280
¥1,200(税抜)
発売中

活動再開第1弾シングルはバースディ・ソングのスタンダードとなりそうな「ハピハピ バースディ」、韓国映画「リメンバー・ミー」のイメージ・ソングとして作られた切ないバラード「愛しい人よ〜remember me〜」の両A面。さらに初のピアノ・インスト・ナンバー「snow field」も収録。初回盤のみロゴ・ステッカー封入。

【岡本真夜オフィシャルホームページ】http://www.mayo-okamoto.com/html/mstart.html

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