堂島孝平

ARTIST PICK UP

堂島孝平

真冬に響け、僕らの強い想い!
青春を通り過ぎてもまだ、若さに胸を張って進んでいこう。
時々は過去を振り返ってもいいんだから。

(初出『Groovin'』2001年12月25日号)

 初めて堂島の歌を聴いたのは、高校2年の頃。まだ彼がデビューしたばかりで、名前すら知らなかったけど、友だちがテープにダビングしてくれて、キッカケを作ってもらったのだが。当時の私には恋の歌を爽やかに歌う感覚が好きではなく、1回聴いた限りでしまいこんでしまった。やがて月日が流れて、人並みに恋愛というものに憧れ始めると、堂島孝平の歌の魅力に気付かされた。それから更に何年かが経つ。
 どうして堂島の歌うポップスはこんなにも胸を打つのか。理由はメロディーの質が高いことにあるようだ。声質を上手く活かしていて、繊細なイメージの音がさらなる拍車をかけ、いつの間にか歌の中の人物像に自分を重ねてしまう。その人を引込む魔力のおかげで楽曲が身近に感じられるんだと思う。演奏するGGKRのメンツも凄い。スカパラ、レピッシュ、エルマロなどをそれぞれ母体としたプレイヤーが揃っているのだから。この羅列を聞いて興奮しないはずがない。
 今回のマキシ「冬が飛び散った」を彼自身が分析する中で次のように語っている。「リアルな歌は大事だ。けれど、あまり個人的すぎると、ポップスという音楽は成り立たなくなる」〜この歌はそういった考えへの挑戦だったそうだ。"自分が今思うこと、吐き出したいこと"をポップスという怪物に負けることなく歌う。改めて歌詞を追いつつ聴いてみると、"これってワタシのこと?"と錯覚するほどにリスナーのココロの核心を突いている。自分に目標を課し、達成させる。18歳でデビューした頃とは違って、逞しく成長したわけだ。さすがはポップ・メイカー! 
 Track-2の「25才」はもっともっとリアルだ。主人公は、昔の友だちから結婚の報告をうけてもの思いに耽ったり、ある日自転車を盗まれたり、映画「ショコラ」を観に行ったり、少年時代に思いを馳せたり、日記のような形態で淡々と進んでいく。聴き終わると切羽詰まった気持ちが痛いくらいだけれど、現在25才の堂島の姿が見えてくる。そしてもちろん、自分自身も。
 私に堂島のテープをくれた、その友だちは今どうしているだろう。どんな毎日を送っているんだろう。音信不通となって随分経つけれど、無性に懐かしくなってしまった。

Text by 関口雅代(スーパーモールいせさき店)

『冬が飛び散った/25才』
堂島孝平-J.jpg




Maxi Single
TRIAD/日本コロムビア
COCA-50662
¥1,200(税抜)
2002年1月11日発売

大好きなポップスを追求するあまり、遂に仕事にしてしまった男、堂島孝平の放つ冬の人間ドラマ2本立て。自分と正直に向き合える、メッセージ色の強い歌です。聴けば迷いも無くなったりして。巨匠"大滝詠一"の名曲カヴァー『ペパーミント・ブルー』(原曲をややスローにした感じ)も入ってます!

【堂島孝平 Official Website】http://djkh.jp/

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