LOUDNESS

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LOUDNESS

結成20周年という節目を迎え、
自らの歴史を振り返るコンプリート・ベストを発表。
日本のHR/HMシーンの王者の座に君臨しつづける彼らの真髄をたっぷりと味わえ!

(初出『Groovin'』2001年12月25日号)

 今年11月21日、復活したオリジナル・メンバーで制作されたものとしては2作目にあたり、デビュー20周年記念アルバムとしてリリースされた新作『PANDEMONIUM〜降臨幻術』が大きな話題となっている中、オリジナル・メンバー時代の楽曲を中心に編集されたオフィシャル・ベスト盤がリリースされた。20年も活動していれば、当然幅広い層の人々が彼らの音楽に触れる機会があるということで、『スピリチュアル・カヌー』でラウドネスを知った若い人たちはもちろん、「やっぱラウドネスはエエなぁ。けど昔のCDどこやったっけ?」というオールド・ファンにとってもありがたい、オイシイとこ取りのベスト盤となっている。
 20年間に渡り、日本のHR/HMシーンの頂点に君臨している彼らだが、その道程は決して平坦なものではなかった。81年5月、レイジーに在籍していた樋口宗孝、高崎晃、元アースシェイカーで活動していた二井原実、高崎と幼なじみだった山下昌良というラインナップで"ラウドネス"を結成。そして11月には、日本のハード・ロック・シーンを揺るがす1stアルバム『誕生前夜〜THE BIRTHDAY EVE』をリリース。82年に2ndアルバム『戦慄の奇蹟〜DEVIL SOLDIER』を、83年には3rdアルバム『魔界典章〜THE LAW OF DEVIL'S LAND』をリリース。この2作品では、当時"日本のエンジニアではヘヴィ・メタルは録れない"ということから、アメリカ人エンジニアであるダニエル・マクレンドンを起用。すでに日本のバンドの常識では考えられないクオリティのサウンド、テクニックを確立していた。そして83年には4枚目のアルバムとなる『撃剣霊化〜DISILLUSION』の制作をイギリスで行ない、メンバーにとって悲願の海外レコーディングを達成する。84年には、前年に行なったアメリカ・ライヴが、アメリカのアトランティック・レコード関係者の目にとまり、日本のバンドとしては初となるワールド・ワイド契約を結ぶ。オジー・オズボーンなどの仕事でも知られるマックス・ノーマンを迎え、記念すべき世界発売となるアルバム『THUNDER IN THE EAST』をリリース。現在で言えば、イチロー級の快挙を成し遂げたといえよう。続いて86年には『SHADOWS OF WAR』をリリース。87年、大物プロデューサーであるエディ・クレイマーを迎えたアルバム『HURRICANE EYES』をリリース。しかし、88年12月、二井原が脱退を表明。日本だけでなく、世界に衝撃が走る。その後、山下、樋口とオリジナル・メンバーが相次いで脱退し、メンバー・チェンジを繰り返したが、2000年に入り、高崎自身が、オリジナル・ラウドネス復活を宣言。13年ぶりとなる、オリジナル・メンバーによるアルバム『SPIRITUAL CANOE〜輪廻転生』をリリース。帰ってきたラウドネスにファンは大狂乱! さらには、このオリジナル・メンバーによる活動続行も宣言。現在に至るのである。
 以上ラウドネスの歴史を本作の性質上、2〜4期をスッ飛ばした形で簡単に説明したが、自分でも書いていて彼らの凄さを再確認させられてしまった。10年以上前の曲とは思えない、クオリティの高い楽曲の数々…、そして本作の目玉である、二井原実によって新たな生命を注入された「SOLDIER OF FORTUNE」は、オリジナルを遥かに凌ぐ楽曲として生まれ変わっている。欲を言えば他の曲もすべて2001年ヴァージョンで新録して欲しかったなぁ…。 しかし、今作がラウドネスというバンドのみならず、日本のHR/HMシーンの軌跡をたどる上でも重要な作品であることは間違いないのだ。

Text by 矢部信之(市原東五所店)

『RE・MASTERPIECES〜ザ・ベスト・オブ・ラウドネス〜』
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CD
日本コロムビア
COCP-31755
¥2,800(税抜)
発売中

メーカーの枠を超え、メンバー本人によって選びぬかれた15曲に、オール・リマスタリングが施されたベスト・アルバム。基本的にオリジナル・ラインナップ時代の曲で構成されているが、「SOLDIER OF FORTUNE」のみ二井原ヴァージョンで全パート新録されている。

【LOUDNESS 公式サイト】http://loudness.jp/

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