Tommy february6

SPECIAL SELECTION

Tommy february6-2.jpg

Tommy february6の1stアルバムが遂に完成!
80'sサウンドをベースにTommyのポップ・センスが炸裂。
さらに、今話題のあの曲のカヴァーも収録。

(初出『Groovin'』2002年1月25日号)


TOMMY-A.jpg 街も人も華やかな光にあふれ、キラキラと輝いていた80年代。時代は巡るというが、最近、ひたすらポップで、とんでもなくキャッチーで、そしてほんの少しの虚無感を心地よく含んでいた当時の音楽が再び見直されている。それは混沌とした時代に生きる者の無いものねだりなのだろうか。それとも決して戻れないあの頃に対する、ちょっとしたセンチメントなのだろうか。どちらにしても、今を生きるしかない私たちにとって、あの時代のサウンドには言いようのない魅力があるということだけは確かだ。
 the brilliant greenのヴォーカリスト川瀬智子のセルフプロデュースによるソロプロジェクト、Tommy february6-2.jpgの1stシングル『EVERYDAY AT THE BUS STOP』は、瞬時にして私をあの時代へとタイムトリップさせてくれた作品だった。また、ヴォーカルや歌詞も含めた、キュートで女の子らしいポップ・センスは彼女の大きな魅力だが、この曲で描かれる甘酸っぱい恋心、つまり少女性を表現するにはその感覚は必要不可欠なもの。Tommy february6という架空の女の子を演じるという形で、あくまで確信犯的に行われた彼女の自己演出に、私はまんまとハマッてしまっていた。続く『♡KISS♡ ONE MORE TIME』はニュー・ロマンティック、『Bloomin'!』はフレンチ・ユーロと趣向を変えながらも、80'sテイストあふれるポップ・ソングを次々と繰り出し、話題を集めたわけだが、似たような音でごった返していた日本のシーンにおいて、そのサウンドは明らかに異彩を放っていた。
 そして2月6日、いよいよアルバム『Tommy february6-2.jpg』が発売される。カラフルなポップ・ソングが12曲詰まった、まるでおもちゃ箱のようなアルバムだ。ワクワクしながらふたを開けてみると、予想を大きく上回る楽曲が次々と飛び出してきた。全体的にシンセサイザーと打ち込みメインのアレンジで、ボトムを支えるのは硬質なビートという80'sサウンドがベースになっている。音数が少なく、しかも1つ1つの音の輪郭がはっきりしているのでわかりやすくはあるが、その分メロディのキャッチーさ、ヴォーカルの表現力や個性が求められることになる。今作ではそれらが見事にクリアされ、80'sミュージックのキラキラしたポップ感が再現されている。今作唯一のカヴァー曲が「Can't take my eyes off of you」だというのも、狙いどおりだとわかっていながら、惹かれずにはいられないのだ。
 ただ誤解しないでほしいのは、単なる80年代の焼き直しに終わってはいないということ。現代的なエッセンスもちゃんと注入されているし、「WALK AWAY FROM YOU MY BABE」のようにヒップホップ・テイストを取り入れ、グルーヴを意識した楽曲もある。何より、3作のシングルのヴィジュアル・イメージにしてもそうだが、テーマが明確で、楽曲ごとに1つの世界が作り上げられている。それを演出した彼女の手腕にも拍手をおくりたい。
 このアルバムをもってTommy february6-2.jpgの第1幕は終了、彼女は来春再始動予定のthe brilliant greenへと活動をシフト・チェンジしていくそうだ。ちょっと淋しいけど、夢のようなサウンドをありがとう、また会う日まで!でも本音を言うなら、夢ならまだ覚めないでって感じなのだけど…。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『Tommy february6-2.jpg
TOMMY-J.jpg





DefSTAR RECORDS
【DVD付き初回盤】DFCL-1058〜9 ¥3,800(税抜)
【通常盤】DFCL-1060 ¥2,913(税抜)
2月6日発売

ヒット・シングル3曲を収録した1stアルバム。80'sサウンドをベースにTommyのポップ・センスが炸裂した話題作。"切な可愛い"系の曲は絶品だ。今話題の「Can't take my eyes off of you」のカヴァーも収録。初回限定盤のみDVD付き特殊パッケージ。

【Tommy february6 / Tommy heavenly6 オフィシャルウェブサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/Tommy/

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