ZONE

デビューから約1年、大ヒット・シングル『secret base〜君がくれたもの〜』も勿論収録した、
1stアルバムが完成！
ますます広がる無限のZONE（領域）はどこまでも続く。

（初出『Groovin'』2002年1月25日号）

　「2001年ブレイクしたアーティストを挙げてみて下さい」そう言われたらアナタは誰を挙げますか？おそらくそこには「ZONE」という名前も出てくるはずです。『secret base〜君がくれたもの〜』でしょ。あの歌好きなんだよねぇ。という人も多いかと思いますが、では歌っている彼女達のことはどれくらい知ってますか？と聞かれたら…。ひょっとしたら答えられない人もいるんじゃないでしょうか？
　『ZONE』はMAIKO、TAKAYO、MIYU、MIZUHOの4人の女の子からなる平均年齢14〜15歳のグループです。全員がヴォーカルをとり、TAKAYO、MIYUはギター、MAIKOはベース、MIZUHOはドラムを担当しています。北海道は札幌在住で、現在も地元で学校に通いながら、仕事の時は上京するといった形で活動しています。彼女達は地元のエンタテインメント・スクール「ランタイム」で結成され、札幌のインディーズ・チャートで1位を取るなどの活躍がレコード会社の目に留まり、昨年メジャー・デビューを果たしました。その際、「楽器を持って踊ったらどうだろう。他のユニットと差別化が図れるのではないか？」とのアイデアのもと、新ジャンル「BANDOL」（バンド＋アイドル）を掲げてのデビューとなりました。そして3rdシングルの『secret base〜君がくれたもの〜』が夏休み期間の昼ドラマの主題歌に起用され、子供たちから人気に火が着き、現在までに約60万枚を売り上げる、ロングセラーとなりました。続く『世界のほんの片隅から』では、あえて楽器を持たずに曲の世界観を伝えることで、こちらも好調な売れ行きを示し、年末には有線大賞で最優秀新人賞を獲得。紅白歌合戦にも出場を果たしました。
　さて2002年、最初のリリースはシングルとアルバムの同時発売となります。まずシングル『夢ノカケラ…』ですが、個人的にはこれは『secret base〜君がくれたもの〜』のアンサー・ソングと受け取りました。ちなみに歌い出しは「君がくれたもの」と『secret〜』の副題になっています。『secret〜』の主人公が大人になるにつれて、あの頃「君」と語り合った夢を胸にしまいこみ、明日を見失ってしまうという歌詞は、今、大人になってしまった人達の気持ちを代弁しているのかも知れません。だからこそ余計に「あの頃」を懐かしんでしまう。そんな気持ちでいる人達が多い今だから『secret〜』が子供だけでなく、大人にも支持されたのではないでしょうか。アルバムではその点も注意して聴いてみるとよいでしょう。
　そしてそのアルバムの名は『Z』。今までに発表された全シングルを収録しています。Zはアルファベットで最後の文字、Zからの始まり…底辺の位置「ゼロ」からスタートして、トップまで登りつめて欲しいという願いが込められています。もちろんバンド名の最初の文字から取った「Z」でもあります。今年、彼女達が自分達のZONE（領域）をどのくらい広げられるか？勝負はこのアルバムにかかっているでしょう。　

Text by 川上敏克（刈谷店）