唐沢美帆

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唐沢美帆

寒い日が続くこんな時期にこそ、温かい気持ちを忘れずにいたい。
ひたむきな思いを貫いていたい。
そんな純粋な愛情が凍えた冬を春に導くような、唐沢美帆の新作は必聴!

(初出『Groovin'』2002年1月25日号)

 どこにいてもどれだけの人の中にあっても、そのしっかりした存在感で光ってしまう人というのはいるものだ。1本通ったものをちゃんと持っているというか、揺るぎ無い信念というか、自分の姿勢を決して崩さない人。そんな人は心から尊敬できるし、なかなか出会えないとも思う。この世の中で歌を歌っている人はそれこそたくさんいるし、全ての人を把握できていないけれど、私が知っているそれらの人たちの中で、唐沢美帆という人はそんな風に自分自身の光でちゃんと輝いている人だと思えて仕方がない。歌に対する愛情が彼女の歌声に表れているから、彼女の歌を聴くとその歌がまるで自分の思いのようにさえ感じられてくるのだ。
 そんな彼女は実はまだ18歳。2000年8月、島野聡プロデュースのマキシ・シングル『anytime, anywhere』でデビューを飾った。その当時から際立っていたどこか切なげな響きを持ったハスキーな声と、自分を飾ることのない自然体の佇まいは、5枚目となる今作にも彼女らしさとなって表現されている。昨年5月に発表した3rdシングル『Way to Love』がドラマ「ラブレボリューション」挿入歌としてブレイクしたのもつい先日のことのように思えるし、前作『ライヴ』では、繊細で巧妙なメロディとアコースティックなR&Bサウンドで、私たちに儚い恋の記憶を思い出させてくれた。
 今まで一貫して、背伸びしない「真面目なラヴソング」を歌い続けてきた彼女だが、待望の新作は、確かな思いを貫く強さと愛しさを教えてくれるナンバーに仕上がっている。きっとほとんどの人が、誰かを好きになった経験を持っているだろう。そしてその気持ちが強くなっていくにつれ、同じように大きくなっていく不安をおぼえたことがあるだろう。そんな時にあなたはどんな事を考えて、どんな風に相手に気持ちを伝えてきただろうか。ある人は「自分のありのままを見せてしまってはだめだ」と言う。恋愛は駆け引きだと言う人もいる。またある人は「自然にそのままでいいんじゃない?」と言う。どちらが正しいのだろう?そしてそもそも恋愛とは一体何?人を愛するということはどういうこと?それは特に彼女と同じ10代の女性にとって、時代が変わっても永遠のテーマであると言っていいだろう。
 この曲の主人公も、そんな思いに迷いながら、それでも前向きに愛する意味を見つけていこうとしている。その姿はリスナーにとって決して他人事では無いはずだ。恋愛に真剣になればなるほど、自分自身の思いより、だんだんと相手の不安までも抱き締めてしまいたくなってくる。相手が何をかかえ、何に苦しんでいるのか?そのために何ができるだろうかと考えてしまう。そんな時、急に自分の無力さ、非力さを実感することもあるだろう。愛する相手のために自分は何が出来るのか?見つからなかったとしたら、あなたは再び悩み続ける事になる…。同じ人間はひとりとしてこの世に存在しないから、いくら言葉で伝え合っても本当の気持ちは分からないし、思いやりがかえって人を傷つけてしまうこともある…。それでも少しでも痛みを分かち合おうとするひたむきさ、そして分かち合えた時の大きな喜びが、唐沢美帆のヴォーカルに乗せて、ホロ苦い思いと共に伝わってくる。
 寒い日々はまだ続いている。大切な誰かがいる人もいない人も、この曲を聴いて改めて愛する事についてちょっと考えてみてはどうだろう。

Text by 二宮万里(編集部)

『Endless Harmony』
唐沢美帆-J.jpg




Maxi Single
ポニーキャニオン
PCCA-01624
¥1,200(税抜)
2月6日発売

唐沢美帆の新作は、その歌声を通してひたむきさと強い思いを教えてくれる、愛のあふれるちょっと切ないラヴ・ソング。ミディアム・テンポのメロディーに乗って、まだまだ寒いこの季節にこそ、温かい気持ちを忘れたくないと改めて実感してしまうような甘い歌声に包まれてほしい。

【唐沢美帆 オフィシャル Web Site】http://www.karasawamiho.com/

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