小谷美紗子

ARTIST PICK UP

小谷美紗子

小谷美紗子の初ベスト・アルバムがリリースされる。
今まで彼女の音を聴いたことがなかった人は、
是非この機会にそのメッセージに耳を傾けて欲しい!

(初出『Groovin'』2002年1月25日号)

小谷美紗子-A.jpg 黒と白の知性溢れる姿、時に女性らしくもあり、時に男性的なアプローチも奏でる、黒い羽根を広げるとそれだけで充分絵になってしまうグランド・ピアノに向かっている姿が良く似合うのが、小谷美紗子だ。
96年のデビューから今までに発表された楽曲の中から、選びに選ばれた大切な16曲が1枚のCDになって、2月6日にリリースされる。これはベスト・アルバムなのだが、オリジナル・アルバムを1枚通して聴き終わった時のような、非常に強いコンセプトが私の心には伝わってきた。
 アルバムの半分以上はピアノ・メインのアレンジになっており(中にはピアノだけの曲もある)、透明感のある彼女の声とピアノの音色との相性は良く、弾き語りという演奏形態を貫いている彼女のセンスの良さと、かなりの腕前に感動してしまう。いつか是非、ライヴも観てみたい。そして、彼女らしいフレーズといったらいいのだろうか、気持ちよくなれる瞬間がどの曲にも必ず入っている。これが1つのコンセプトを感じさせる要因だろう。
 今年も様々な出来事が起きたが、メディアから伝わってくる悲惨な事態に対して、自分は何が出来るのか、涙を流してもそれは一瞬だけ。苦しみと向き合っている人々にとっては一瞬なんかでは伝わらない思いがきっとある。でも今、救急車が後ろから走ってきたら…涙を流すだけなら誰にだって出来ることよ、そんな彼女の哲学。"嘆きの雪を身体にあびて 燃え尽きそうなこの恋を冷やしたい"〜『嘆きの雪』〜不毛な恋に別れを告げようとしている潔い彼女の姿。闇から光へと、涙から行動へと移してゆく勇気と、結論から目をそらさず、その中から自分の為にすべきことを見つけだしてゆこうとする強さ。そして、"ギリシャの神殿で石になってしまいたい"〜『TheStone』〜と幻想的に歌う乙女心、なにもかもが黒と白の鍵盤をたたく小谷美紗子の姿に結びついてゆくのだ。黒と白、対にあるこの2色は、シンプルで、力強く、清い。それがこのベスト・アルバムのコンセプトのような気がしてならない。

Text by 森田みき(玉川高島屋店)

『Quarternote〜THE BEST OF ODANI MISAKO 1996-2000』
小谷美紗子-J.jpg




CD
ユニバーサル ミュージック
UUCH-1043
¥2,800(税抜)
2月6日発売

96年のデビューから今までの曲の中でも"彼女らしい"曲を選んだのだろうか?このベスト・アルバムは16曲も収録されているのに、非常に強いメッセージが一貫して感じ取れる。静かな中に確かな感動が伝わる、聴けば聴く程好きになってしまう小谷美紗子ワールド!

【小谷美紗子 オフィシャルWebサイト】http://www.odanimisako.com/

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