氷川きよし

ARTIST PICK UP

氷川きよし

2002年の氷川きよしは「ズンドコ」から!
演歌ファンのおばあちゃんも、J-POPSフリークのお兄ちゃんも、
これを聴かなきゃ始まらない!

(初出『Groovin'』2002年1月25日号)

氷川きよし-A.jpg もはや説明不要。CMやテレビ番組にも引っ張りだこの、演歌界のニュー・プリンス、こぶしをまわすアイドルである。昨年発売された1stフル・アルバムは演歌の作品としては異例のヒットを記録、写真集の発売、紅白出場と、その勢いは止まることを知らない。老若男女問わず支持され、楽曲が広く親しまれている彼は、ちょっと古い言葉で言うならば、お茶の間のアイドルといったところだろう。また、昨年末にはKIYOSHIというアーティスト名で、シングル「きよしこの夜」をリリース。プロデュースに河村隆一を迎えたこの曲で、堂々J-POPS界にもなぐり込みを果たした。しかし、こうした越境行為が難なく出来てしまうのも、幅広い年齢層に支持されるのも、彼のポップな存在感と確かな実力という二本柱があってこそ。氷川きよしはいい意味での"なんでもアリ"が許される、実に貴重なアーティストなのだ。
 さて、そんな彼が2002年第1弾シングルとしてリリースするのが、この「きよしのズンドコ節」。ドリフ世代から上の人達にとって、そのメロディは鮮明に記憶に残っているはずだが、今の若い人達にも十分わかってもらえるだろう普遍的な魅力を持つ楽曲だ。古くから歌い継がれてきた曲ということもあって、そういう意味では、演歌云々というよりもある種のスタンダード・ソングだと思うし、また日本の大衆音楽の原点のような楽曲でもある。その証拠にこの曲、一瞬陽気に聞こえるが、実は日本人の心の琴線をバチーンとはじきまくるような、とんでもなく切ないものが含まれている。氷川きよしが歌う今作は、彼のフレッシュな歌声のせいもあっていっそう切なさが増しているようだ。また、ほのかな恋心や淡い思い出を綴った歌詞もノスタルジックで趣がある。
 何よりもこの曲、口ずさみやすいのがいい。その点では、「箱根八里の半次郎」「大井追っかけ音次郎」に通じるものがあるが、今作のテンポとリズムが日本人にちょうどよいのではないか?ズン、ズンズン、ズンドコ〜ああ、ついついくせになってしまう。これぞジャパニーズ・グルーヴなのかも…。
 このシングルで2002年の彼の活躍は約束されたようなものだ。特定の世代や、特定のジャンルに向けて発信されるのではなく、普遍的な音楽を目指し、彼は今日も歌っている。音楽ジャンルの越境者、氷川きよしはこれからどこへ行くのか?期待は高まるばかりだ。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『きよしのズンドコ節』
氷川きよし-J.jpg




CDS
日本コロムビア
CODA-2020
¥1,067(税抜)
2月6日発売

快進撃を続ける氷川きよしの新曲は、あの「ズンドコ節」。ドリフターズがヒットさせたことでも知られる名曲が、氷川きよしの2002年ヴァージョンで甦る!日本の大衆音楽の原点がここにある。初回生産分のみ、コンサート&楽屋ご招待の応募ハガキ封入。

【氷川きよし 公式サイト】http://columbia.jp/hikawa/

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