高田志麻

シンプルな歌詞とメロディーで等身大の23歳をリアルに表現するシンガー、
高田志麻のデビュー・シングル『雨』。聴く度に、彼女の歌声が心に染み渡っていく…。  

BRAND NEW ARTIST
高田志麻

 なんて真っ直ぐな歌だろう、と思った。
 今回この原稿を書くにあたって私の元に送られてきた資料は、高田志麻という女性の簡単なプロフィールと、1曲のみが録音されている1枚のMD「だけ」だった。それだけ、である。そう、例えば写真など、彼女の姿形を認識できるものは何ひとつなかった。私は今、彼女の顔を知らずして彼女の奏でる音を聴き、彼女の声を聴き、こうして心を動かされている。
 「雨」と名付けられたその曲は、失恋の歌だった。失恋には2種類ある。片思いの相手に思いが届かなかった場合と、恋人同士だった2人が別れてしまった場合。この歌は後者の方で、彼女の体験がそのまま歌詞になって現れている。「あなたがいないベッドで眠れない 枕こんなに大きかったっけ?」回りくどい表現が一切用いられていない彼女の言葉。メロディーも、ピアノの音色中心で作られたアレンジも、いたってシンプル。技術が発達し、難解な音作りが可能になった今だからこそ、彼女から生まれる音は瑞々しく、潤いをたたえた歌声は、心の中に染み渡っていく。
 「あなたがいない 歌が唄えない この曲こんなに切なかったっけ?」この歌詞を読んで、彼女は歌に生きる女性なんだ、と強く実感した。今後が楽しみな新人ヴォーカリストである。

Text by 渡辺麻美(玉川高島屋店)
(初出『Groovin'』2002年1月25日号)

『雨』
高田志麻-J.jpg



Maxi Single
東芝EMI
TOCT-4352
¥1,000(税抜)
1月30日発売

今作がデビュー・シングルとなる高田志麻。実際彼女が失恋した時に雨が降っていたことから名付けられた「雨」は、同世代の女性なら1度は体験する、「いつも隣にいた人がいない」切なさ、痛み、戸惑いが、素直に表現されている。是非女性に聴いて頂きたい1枚。

【ワライナキ オフィシャルサイト】http://warainaki.com/pc/index.html

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