編集長のおすすめ！

　早いものでこの前バッファロー・スプリングフィールドのボックスがリリースされたと思ったら、既に2002年に突入！ということで、今月は久しぶりに気になる4タイトルをじっくり取り上げてみたいと思います。まずは何と言っても、これ。待望の新作！ザ・バンドのジム・ウィーダーの2ndアルバムがリリースされました。オリジナルの新曲7曲に加え、ザ・バンド時代の名曲「レメディ」「ザ・ウェイト」やボブ・ディランの「ホームシック・ブルース」、さらにリイシュー盤が話題のフル・ムーンの「ヘヴィ・スカッフルズ・オン」（これは日本盤のみのボーナス・トラック）といった興味深いカヴァー作も収録という、充実した内容。しかもザ・バンドのガース・ハドソンをはじめ、マール・サンダース、トニー・レヴィン、ジェリー・マロッタ、ロビー・デュプリーといった豪華ミュージシャンも参加し、彼お得意のテレキャスターの音色もさらに引き立てる会心作です。青山陽一さんの入魂の解説とともに、心ゆくまでジム・ウィーダーのサウンドをお楽しみ下さい。
　そして次は、サントラから。ボブ・クリュー＆チャールズ・フォックスが手がけた68年の人気サントラ盤『バーバレラ』が、遂に公式CD化されました。日本盤はceleste（VIVID）から先行で、そしてイギリス盤はHARKITから3月リリースの予定。この映画、ジェーン・フォンダの主演作としてもカルトな人気を誇り、以前CIC・ビクターからDVDが発売された時も大きな話題となりましたが、サントラの方も長年CD化が待望されていただけに、大反響を呼びそうです。ちなみにオリジナル・アナログは今でも状態が良ければ¥10,000近くするレア盤ですので、このCD化はまさに嬉しい限り。その上、歌詞・対訳・ポスター付き、ボーナス・トラックも8曲追加という豪華仕様です。あのワンダーミンツもカヴァーした主題歌「バーバレラ」のオリジナル・ヴァージョンを、是非いい音で！
　続いてご紹介するのも、サントラから。イタリア映画といえば、そこに登場するお洒落なファッションと色使いが特徴ですが、その飛び抜けたファッション・センスを違った面から支えるサウンドトラックも大きな魅力の1つです。そしてイタリア映画のサントラといえば、やはりエンニオ・モリコーネ抜きでは語れません。そんな彼の優れたナンバーの中から、音色の特徴別にコンパイルした3タイトルが登場しました。"モリコーネ・イン・ザ・シーン"と題されたこのシリーズは、タワーレコードのバイヤーである馬場敏裕氏が監修を担当し、ユーザーに最も近いCDショップ的な発想から選曲したコンピで、「ラウンジ」「ビザール」「チェイス」の3種があります。美しくその場の空気を染める、不思議な雰囲気をたたえたモリコーネの音楽は、こうして新たな切り口で聴いてみるとまた違った発見があるものです。あなたのお部屋のBGMとして、そしてある種のヒーリング・グッズとしても大活躍してくれそうです。
　そして最後は、コリーンの2ndアルバムを。エファメラに代表される北欧系ポップスが好評のウッド・レコードが新たに"little snowman"というレーベルを創設、その第1弾としてリリースされるのがこの『チェンジ』です。自身で作詞・作曲を手掛ける一方、アンドレアス・カールソン（ブリトニー・スピアーズやセリーヌ・ディオン、バックストリート・ボーイズ、イン・シンクらを手掛ける）や、サミュエル・ウェルモ（フェイス・ヒルの「On Hold」の作者）、さらに安室奈美恵の「Say The World」の作曲者として知られ、A-TEENSのプロデューサーでもあるトーマス・ヨハンセンがプロデュースという、豪華メンバーも話題となりそう。日本盤のみボーナス・トラック2曲追加し、メジャー感あふれるサウンドの中に、彼女らしい優しさと北欧独特の表情豊かなヴォーカルが生きた好作品です。

Text by 土橋一夫（編集部）
（初出『Groovin'』2002年1月25日号）