Kiroro

ARTIST PICK UP

Kiroro

国民的ベスト・アルバムがついに完成!
話題をさらったデビュー曲「長い間」も、沖縄ブームに一役買った「Best Friend」も入った、
優しさあふれる作品集、『Kiroroのうた ①』。

(初出『Groovin'』2002年2月25日号)

Kiroro-A.jpg 今もなお流行中の「癒し系」という言葉。タレントやアイテムなど、日々の疲れを和らげてくれる様々なものが世の中にはあふれている。現代人は疲れやすい、癒されたい、と実感の毎日。
 そんな「癒し系」という言葉は、もちろん音楽にも多く取り入れられている。ヒーリング系のアルバムは、昨年多く作られたし、手に入れた人も多いだろう。耳から流れ込んでゆったりとした気分にさせてくれる音楽による癒しの方法は、特に取り入れやすいこともあり、多くの人の疲れをとってくれているようだ。
 「癒しの音楽」…この言葉がぴったりの2人組アーティストとして、改めて名前があがることが多いのはKiroroじゃないかと思う。インディーズ・シングル『長い間/青のじゅもん』がリリースされたのが1996年11月21日。ラジオ・有線にリクエストが殺到し、 沖縄県内限定発売にも関わらず、売上げ枚数が1万枚を超えるヒットを記録した。1998年1月21日に『長い間』でメジャー・デビュー。結婚する友人を思い綴られた『長い間』に表された平凡で素直な思いは海を渡り、日本全国の、たくさんの人の元へ届いた。
 「Kiroro」という名前も興味深かった。由来は、玉城千春が小学生の時、地域交流で北海道池田町に行き、なんとなく耳に残ったアイヌ語の「Kiroru=人間が踏み固めた広い路」と「Kiroro-an=強い・健やか・盛ん・大きい・かたくな」という意味や響きに魅かれ名付けられた。「キロロ」という響きにある、かわいらしさと親しみやすさ、そして内に持つ本来の強い意志は、今やKiroroの音楽の根底にあると思う。
 そして昨年の、NHK朝の連続テレビ小説「ちゅらさん」の主題歌となった「Best Friend」。ここ何年かドラマの舞台となる場所の出身アーティストが主題歌を担当することが多かったが、この物語の中にも、沖縄の人たちの大らかな人柄が溢れていた。小さな島の周りにはどこまでも澄んだ青い海が広がっていた。ドラマが好評で「沖縄ブーム」再来となったが、ここでもKiroroの音楽が「癒し」に一役買っていたことは、言うまでもない。
 そういえば、それまでの「沖縄の音楽」というものへの認識が変わったのも、彼女たちの音楽が広く知られてからではなかっただろうか。情熱的なイメージから、壮大で穏やかなイメージへと、その印象の幅は広くなった。
 Kiroroの音楽がある場所、そこにはいつも懐かしい温かさがある。着実に大人らしさを身につけながらも、時間の流れの中で決して自らを見失うこと無く、そのピュアなイメージはずっと変わっていない彼女たち。穏やかな笑顔と優しい音楽には、全てを包む大きな強さがあるから、私たちはKiroroの音楽を聴くたびに、まるで故郷へ帰った時のようにゆったりとした気持ちになれる。人としてのあるべき姿に戻してくれると言ってもいい。きっとKiroroの音楽には、自らが故郷沖縄から受け継いだものが、ほぼそのままに近いカタチで表れ、そこに彼女たちらしい素朴さや優しさ、明るさが加えられて、私たちに届けられるのだ。みんなが待っていた『Kiroroのうた ①』。疲れた現代の人たちを癒してくれる、2002年のマスト・アルバムになることは必至だ。

Text by 二宮万里(編集部)

『Kiroroのうた ①』
Kiroro-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICL-60835
¥2,900(税抜)
発売中

Kiroroの初ベスト・アルバムは、デビュー曲「長い間」をはじめとして、「未来へ」「冬のうた」といったシングル曲に、昨年のドラマ主題歌「Best Friend」も収録。新曲も含め、優しく温かい曲がいっぱい。新しい時代の「癒しベスト・アルバム」はこれ!

【Kiroro official web site】http://www.victormusicarts.jp/kiroro/top.php

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