NIPPS

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NIPPS

日本の全ヒップホップ・ファンが待ち望んでいた、
奇才"NIPPS"のファースト・ソロ・アルバムが遂に発売!
2002年最高の話題作。これは事件だ!

(初出『Groovin'』2002年3月25日号)

 高校生の憧れの職業がDJだとか、ラッパー志望の人が増えているとか、最近そんな話をよく耳にする。邦楽チャートの上位にもヒップホップ・ナンバーが次々に食い込んでいるし、なるほどヒップホップという音楽が日本にも本格的に定着しつつあるのだなと感心する反面、当然のようにまかり通っているおこちゃまラップ・ソングを聴くと、まだまだ黎明期にあるのかもしれないなあとも思うのだ。
 そんなシーンに喝を入れるべく立ち上がったのが、このNIPPS。BUDDHA BRANDの一員としてその名を轟かせる、ジャパニーズ・ヒップホップ界のカルト・ヒーロー、飛葉飛火(HIBAHIHI)、その人である。彼の1stソロ・アルバムとして3月27日にリリースされる今作は、アンダーグラウンドでやばいニオイをプンプンさせながら何かを発信する、そんなヒップホップのスリリングな自由をしっかりと感じさせてくれる。
 まず圧倒されるのは、そのストイックなまでの世界観。最近のJ-ヒップホップにありがちな「みんなで楽しく騒ごうよ」的なお手軽さは微塵も見あたらない。いや、そのお手軽さが悪いと言っているのではないが、ヒップホップが本来持っているはずの言葉のパワーはもっと重量感あるものだと思う。NIPPSが繰り出すフロウはずっしりと重く、半端じゃない語彙と鋭い着眼点で、世の中の闇の部分をざっくざっくと斬っていく。そしてトラックには様々なループの心地よさが仕込んであり、そこから生まれる陶酔感はラップのパワーをさらに増幅させている。
 また特筆すべきは、ボーナス・トラックとして収録され、今作で初CD化となる「ISLAND」。いまや入手困難の名曲だけに注目度の高い1曲だ。他にも、彼が本当に愛するヒップホップをもっと焦点を絞った形で表現するために、あえてインスト曲を収録したり、昨年の三島由紀夫賞を受賞した中原昌也氏の詩を朗読した曲があったりと、既存のヒップホップ・アルバムの枠を越えた、実験的でヴァラエティ豊かな作品になっている。
 言葉をリズムに乗せるだけがラップではないし、サンプリングの手法だけがヒップホップではない。それを証明したかのような今作は、現在のシーンにおいて、とても意義あるものだと思う。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『MIDORINOGOHONYUBI presents
MIDORINOGOHONYUBI MUSIC/ONE FOOT』
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CD
MIDORINOGOHONYUBI MUSIC/ユニバーサル ミュージック
UUCH-1047
¥2,800(税抜)
3月27日発売

BUDDHA BRANDの一員としてその名を轟かせる、ジャパニーズ・ヒップホップ界のカルト・ヒーロー、飛葉飛火(HIBAHIHI)がNIPPSとして1stソロ・アルバムをリリース。全国のヒップホップ・ファンが長い間待ち望んでいた、奇蹟の1枚!先着でステッカーをプレゼント。


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