亜矢

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亜矢

殺伐とした生き様、溢れる感情に満ちた豊かなメロディー、
凶暴なまでにピュアな愛のうた。
デビューにしてとんでもない完成度を誇る、傑作ロック・アルバム!!

(初出『Groovin'』2002年4月25日号)

亜矢-A.jpg 北海道出身。中学時代よりハード・ロックやパンクなどを聴き、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』に決定的な衝撃を受ける。地元でバンド活動を始め、ギター・プレイヤーとしてセックス・ピストルズやホールなどをカヴァ−する日々を送る。高校を1年でドロップ・アウト、家を飛び出し、北海道の街を放浪したのち上京。とあるバンドのヴォーカリストに抜擢され、メジャー・デビューも決定していながら、その発売日を前に中心人物が他界、バンドは空中分解に陥る。それを機に、自作の曲を独自にアレンジしては8トラックのテープレコーダーに録音することに没頭、米軍基地や渋谷の路上で歌うという生活を3年間送る。そういった中から生まれた作品群は、彼女の殺伐とした"生き様"そのものが"音"に変換されたようにヒリヒリとした感触を持っていて、メロディーは豊かに、言葉は凶暴なまでに純粋な愛の描写で溢れている。そして、彼女の鳴らす
ダイナミックなロックは国境さえも超え、90年代に世界のロックを変えたスーパー・バンドのメンバー達との、"シアトル・セッション"にまで発展していった。2001年4月にデビューしてからコンスタントに作品を発表していた彼女だが、1年の制作期間を費やしたという、この渾身のデビュー・アルバムでその才能の全貌を明らかした。
 「亜矢サウンドはクールだからやる」そういったのは、ニルヴァーナやパール・ジャム、エアロスミスなどの制作チームで腕を鍛えたアダム・キャスパー氏。ミュージシャンというのは直感がよく働く。良いと感じたら時間も労力も惜しまず意気投合してしまうものだ。その証拠に今回のレコーディング・スタッフは、彼女自身が「偶然と偶然が重なった必然」というように、仲間から仲間へ亜矢の噂が広まって自然と集まってきたメンバーらしい。90年代オルタナティヴやグランジといった言葉を生み、世界のロック・シーンを塗り替えたシアトル発3大バンドが、ニルヴァーナ、パール・ジャム、サウンドガーデンであるが、そのメンバーがこうして1アーティストのレコーディングに顔を合せるのは、亜矢が世界で初めてであり、"グランジ、オルタナ界の夢の共演!"といっても過言ではない。その奇跡を是非、聴いて確かめて欲しい。
 そんな亜矢のところには、レコーディングを終えた今でも「早く、シアトルに戻って来てほしい」という彼らからのEメールが届くらしい。音楽で出会ったが、今では音楽で終わらない関係にまで発展しているのだろう。これからの活動がとても楽しみだ。 

Text by 森田みき(玉川高島屋店)

『戦場の華』
亜矢-J.jpg




CD
BMGファンハウス
BVCS-21026
¥2,913(税抜)
発売中

社会の一般的制度やステレオタイプな生き方に縛られず大人になった、ストリートに転がっていた石っころのような女の子、亜矢。シアトルにて約1年の期間を費やし制作した今作は、1stにしてとんでもない完成度を誇る傑作ロック・アルバム。

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