スガ シカオ

スガ シカオのニュー・マキシ・シングル「アシンメトリー」は、
ドラマの主題歌として書き下ろした、
久々のアップテンポなナンバー。

（初出『Groovin'』2002年5月25日号）

　今年でデビュー6年目、着実に人気・知名度とも上がって来ているのがこのヒト、スガ シカオ。最近ではCM等でお目にかかる機会も多いのだが、デビュー当時と比べると格段に垢抜けて、イイ男になってきた。もともとFMラジオのパワープレイから火がついただけに、大人の音楽ファンを中心に圧倒的な支持を得る、音先行型のア−ティストだと言える。数々の名曲を生み出し、ヒットさせた今でこそ笑える話だが、彼はデビューするにあたってなかなかレコード会社が決まらなかったという。メーカー側が難色を示したのは、彼の30歳という年齢だった。30歳でデビューという前例がない訳ではないが、当時年々若年齢化していた音楽業界にとってはデメリットとして映っていたのだろう。そして、その音楽業界の暗黙の通説をくつがえしたのが、スガ シカオである。もし仮に、彼のデビューが10年早かったらどうなっていただろうか。彼の音楽的嗜好が大きく変わることはないと思うが、技術的な面ではまだ未成熟かもしれない。現在のように、曲中ほとんど全ての楽器を自ら操り、セルフ・プロデュースすることができただろうか？また、彼の一番特徴的な作詞能力については全く未知の世界だ。というのも、彼が初めて作詞を手掛けたのが、確か23〜4歳の頃だったはず。それ以前は作曲のみ手掛けていた彼が、いろんな手法を試み、暗中模索しながら今の作詞スタイルを確立してきた。そう考えると、まだ20歳そこそこの彼にはたぶん「夜空のムコウ」は書けないだろう。スロースターターでありながら、これだけの作品を生み出したのだから、元々才能溢れる若者だったに違いないとは思う。しかし、スロースターターだからこそ出せる「いぶし銀」的な魅力、スガ シカオはまさにこれからが楽しみな旬な男なのだ。
　5月29日にはフジテレビ系ドラマ「整形美人。」の主題歌として書き下ろした新曲「アシンメトリー」がリリースされる。ファンキーなサウンドもかっこいいし、「整形美人」「アシンメトリー」から連想される、彼なりの優しさや思いやりの詰まった歌詞にもご注目。カップリングにはサッポロ北海道生搾りのCM曲も収録した、必聴の1枚だ。

Text by 谷口郁子（玉川高島屋店）