Baby Boo

神戸出身、男性6人組ヴォーカル・グループ、Baby Booの新作「Love knot」は
飾り気のない、真っ直ぐな気持ちに溢れたラヴ・バラード。
これからの季節のBGMに、この曲を贈ります。

（初出『Groovin'』2002年5月25日号）

　「プロポーズの言葉を教えて下さい」つい先日も、ある有名人の結婚会見で、こんな質問が飛び出した。こういう場面はよく目にするが、そんな時、さあこれが自分だったらどう言うだろう、とか、なんて言われたらうれしいかしら、と思った事が、誰でも1度くらいはあるのではないだろうか。プロポーズとまではいかないまでも、好きな相手に自分の気持ちを伝えるには、どう言えばいいだろう？と悩んだことのある人はきっと多いだろう。では、今、もし好きな人がいて、その人に自分の気持ちを伝えるとするならば、あなたはどんな言葉で伝えるだろうか？
　そんなこと、すぐには浮かばないよ、と言われるかもしれない。確かにそうだ。では、ちょっとこの曲を聴いてみてもらいたい。きっとあなたに、何かしらのヒントを与えてくれるはずだ。いやいや、自分はちゃんと用意してあるから、という人も、一緒に耳を傾けてほしい。聴いた後に、改めて感じる何かがきっとあるはずだ。
　その曲とは、神戸出身の男性6人組ヴォーカル・グループ、Baby Boo（ベイビー・ブー）が歌う「Love knot」（ラブ・ノット）。「愛を結ぶ」という意味のタイトルから見てもわかる通り、愛する人への真っ直ぐな思いに溢れた、ラヴ・バラードだ。「伝えきれない　ありふれた愛の言葉（うた）じゃ　"君が好き"で溢れてるから」…真っ直ぐで素朴な歌詞のサビからはじまる今作。飾り気の無い素直な言葉が、美しく重なり合うハーモニーによって、じんわりと染み込んでいく。そしてとても自然に、温かい気持ちになれる。こんな風に言ってもらえたら、きっととても幸せだろう。
　そんな愛溢れるラヴ・ソングを聴かせてくれているBaby Booは、この2月に「プラネタリウム」でメジャー・デビューをしたばかり。彼らの魅力はなんといっても、「声」というそれぞれの楽器を最大限に活かした、美しいハーモニーだ。それは何気なく聴いていると、1つ1つの音が、人の声の重なりであると気付かないほど。彼らの歌は、聴く者を、その繊細な歌声の響きによって作り出された空間に、一瞬にして運んでしまう。1stシングルの「プラネタリウム」も、見えないはずの星空が、くっきりと目の前に広がるような曲だった。これはまさに、"初心を忘れないようにしたい"という心がけと、絶妙なコーラス・ワークがなせる技なのだろう。
　今、自分の思いを伝えたいけれど、どんな風に伝えようかと悩んでいる人へ。格好のいい台詞を用意する必要はない。ただ、今、自然と溢れ出る気持ちを、思ったまま発する。それだけで充分だ。うまく表現できなくたっていい。伝えようとする思いがあれば、どんな言葉であっても、ちゃんと相手に届くはず。気持ちが通じ合っていれば、そこには特別な言葉なんて必要ないのだから。
　それでもやっぱり照れくさいという人は、大切な人にこの「Love knot」を贈ってみては？あなたが言いたい事を、きっとこの曲が伝えてくれるはずだ。でも、ちゃんと後フォローを忘れずに。この曲は、優しく力を貸してくれるけれど、やっぱりきめる時は、自分の言葉で言ってもらいたいもの。どんな気持ちであっても、それをちゃんと伝える事は、難しいけれどとても大切なことだから。
　もうすぐ6月。6月といえば、ジューン・ブライド。うれしい瞬間や幸せな場面が多くなるこの季節を、愛に溢れたこの曲が一層彩ってくれるだろう。そしてこの曲を聴いて、改めて、自分にとって大切な人について考えてもらえれば何よりだ。

Text by 二宮万里（編集部）