Ann

ARTIST PICK UP

Ann

RAZZ MA TAZZの解散から3年。
そのほとんどの楽曲を手がけた、
RAZZのメロディ・メーカー三木拓次が新ユニットを結成。

(初出『Groovin'』2002年5月25日号)

Ann-A.jpg

 RAZZ MA TAZZ…アコースティックなサウンドを基調に、時に爽やかな、時に切ない曲を描き、「Season Train」「MERRY-GO-ROUND」などのスマッシュ・ヒットを連発するも、1999年に惜しまれながら解散したバンド。そのRAZZのほとんどの楽曲を手がけた三木拓次率いる新ユニットがこのAnnなのである。
 Annは男女2人組。そして、その三木のパートナーとなったのがayuriという女性ヴォーカリストである。広島でコピー・バンドのヴォーカルをやっていたが、歌で自分を表現するために98年に上京。彼女の歌が入った1本のデモ・テープによって三木と運命的に出会い、2000年、Annは結成される。そして翌年8月、1stシングル「碧い空」をリリース。今作は2ndシングルにあたる。
 TBS系CDTV-Neoのテーマソング(プロモーション・ビデオもちょっとだけ見られる)になったことで、Annとリスナーのファースト・アクセスとなりうる楽曲に、三木は流れるようなアコギのラインが美しいミディアム・バラードを持ってきた。「うた」に感情を注ぎ込むタイプであるayuriのヴォーカルは、せつなくて痛い、時にはヒリヒリとするような感触すら感じさせる。ayuriの声を最大限に生かすシンプルなサウンドが、RAZZ時代からの御家芸ともいえる切ないメロとガッチリはまった今作こそ、結成当時〜現在のAnnの、まさに王道の作風と言って間違いない(それもそのはず、実はこの曲、Annとして最初に出来た曲らしい)。カップリングは暗から明へ変化するドラマチックな曲で、爽やかな楽曲には定評のある三木ならではの曲。
 表現者がayuriに代わっても三木の描き出す曲世界は健在だった。今後彼の持つ幅広い音楽性がAnnというフィルターを通してどう表現されていくのか実に楽しみだ。まずはこの「ひとつだけ」、ぜひご一聴を。

Text by 麦山幸男(木更津桜町店)

『ひとつだけ』
Ann-J.jpg




Maxi Singel
フォーライフ
FLCF-7009
¥971(税抜)
発売中

「碧い空」に続く2ndシングル。「うた」に重点を置いたシンプルな曲というのはヴォーカルに力量がないと、印象に残らない薄っぺらいものになる。しかし、このAnnにおいては、ayuriという切なくて強い、天性のヴォーカリストが歌っているおかげで、そういった心配は無用なのである。


inserted by FC2 system