Roots of J-POPS

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まさにジャパニーズ・ポップス&ロック・シーンの基礎を作った、はっぴいえんど。彼らの残した作品は、その後多くのアーティストに影響を与えました。そこでこのコーナーでは、P32で取り上げた『HAPPY END PARADE〜tribute to はっぴいえんど』に参加したアーティストの作品と、はっぴいえんどの名盤(オリジナル3枚+ベスト1枚)を改めて取り上げてみました。オリジナル作品はもちろんのこと、はっぴいえんどの遺伝子がどのようにそれぞれの参加アーティスト達に影響を与えたのか、そんなことを考えながら聴いてみるのもまた面白いかも知れません。

構成 & Text by 土橋一夫
(初出『Groovin'』2002年5月25日号)

はっぴいえんど
『はっぴいえんど』
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CD
東芝EMI
TOCT-8945
発売中
¥1,748

細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂が在籍したはっぴいえんどが70年に発表した1st。バッファロー・スプリングフィールドなどアメリカン・ロックの影響を独自に解釈し構築したサウンドは、その後のシーンに大きな影響を与えた。ジャケットのデザインとイラストは林静一。松本隆による日本的な風景を描いた詞も、印象深い。

はっぴいえんど
『風街ろまん』
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CD
東芝EMI
TOCT-8946
発売中
¥1,748

はっぴいえんどが71年に発表した、完成度の高い2ndアルバム。細野晴臣による「風をあつめて」に代表される都会的なポップスと、大瀧詠一による独特なメロディ・ラインが印象的な「抱きしめたい」「空いろのくれよん」、さらにスワンプ・ロックの「颱風」や、鈴木茂による「花いちもんめ」など、バラエティに富んだ内容が魅力的。

はっぴいえんど
『Happy End』
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CD
キングレコード
KICS-8801
発売中
¥1,714

72年発表の3rdアルバム。アメリカン・ロックに影響を受けた彼らがアメリカ西海岸に渡り、リトル・フィートやヴァン・ダイク・パークスを迎えて制作された、意欲作だ。細野作「風来坊」「相合傘」、ヴァン・ダイクとの共作「さよならアメリカ、さよならニッポン」、鈴木茂による「氷雨月のスケッチ」、大瀧作品「田舎道」「外はいい天気」など名曲も多い。

はっぴいえんど
『City〜はっぴいえんどベストアルバム』
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CD
キングレコード
KICS-8802
発売中
¥1,714

解散記念イヴェント「Last Time Around」が行われる直前の73年9月に発表された、はっぴいえんどのベスト・アルバム。3枚のオリジナル・アルバムからバランス良く選曲されているが、M-1「はいからはくち」はシングルや『風街ろまん』収録のものとは異なる別ヴァージョン。アート・ディレクションとデザインは矢吹申彦氏。

ピチカート・ファイヴ
『singles』
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CD(2枚組)
*********RECORDS, TOKYO
COCP-50630〜1
発売中
¥3,500

小西康陽が在籍したピチカート・ファイヴが、トライアド〜レディ・メイド時代に発売したシングルを集めた、2枚組ベスト・アルバム。ソニー時代の名盤『カップルズ』とも共通するイメージのジャケットは、お馴染み信藤三雄氏のディレクションによるもの。ジャケット同様、ポップでキャッチーでお洒落な独特のサウンドが満載。

サニーデイ・サービス
『東京』
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CD
ミディ
MDCL-1303
発売中
¥2,913

96年発表のサニーデイ・サービスの名盤。はっぴいえんどにも通じる古き良き東京の風景を歌いながら、そこに曽我部恵一独特の美しいメロディを絡ませた本作は、若い音楽ファンに70'sサウンドを再認識させるきっかけともなった。印象的な桜を使ったアート・ディレクションは小田島等氏によるもの。名曲「あじさい」収録。

スピッツ
『ハヤブサ』
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CD
ユニバーサル J
POCH-4001
発売中
¥2,913

2000年7月にリリースされた、現状スピッツの最新アルバム。前作以来、実に2年4ヶ月ぶりに発表された本作は、石田小吉が共同プロデューサーとして参加、シングル曲「ホタル」や「放浪カモメはどこまでも」(album mix)なども収録。ハードなロック・テイストと、アコースティックな明るい触感の両立を図った、彼ららしいサウンドが魅力的。

オリジナル・ラヴ
『ムーンストーン』
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CD
ポニーキャニオン
PCCA-01658
発売中
¥3,000

松本隆が作詞を手がけた「夜行性」「守護天使」を含む、オリジナル・ラヴの最新作。ギタリストにヒックスヴィルの木暮晋也を迎えた本作では、田島貴男はさらに多彩なサウンドに挑んでいる。彼本来が持ちうるポップな側面とハードなサウンドの両面を浮き彫りにすると同時に、メロディ・メイカーとしての才能を改めて示した充実作。

くるり
『THE WORLD IS MINE』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICL-60854
発売中
¥2,900

最近はロック的なアプローチとデジタルな感触を両立させ、多くのファンの支持を受けるくるり。本作は今年3月にリリースされた彼らの4thアルバムで、ヒット曲「ワールズエンド・スーパーノヴァ」のアルバム・ヴァージョンを含む、充実した内容。ポップなサウンドの中に潜む日常的な様々な情感を、是非ゆっくり味わってみて欲しい。

空気公団
『約束しよう』
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CD
トイズファクトリー
TFCC-86109
6月19日発売
¥1,700

アルバム『融』が好評な空気公団が、遂に新作ミニ・アルバムをリリース!アコースティックなテイストを大切にし、そこに様々な情景を切り取って映しこむ独特のサウンドと詞の世界は、まさにワン・アンド・オンリー!優しさとほのぼの感と浮遊感が本作にもいっぱい詰まっていて、心を染めていきます。ポップなタイトル曲「約束しよう」もお薦め!

つじあやの
『BALANçO』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICL-60875
発売中
¥2,900

タイトルはポルトガル語でブランコを意味する、ウクレレ少女…つじあやのの最新アルバムは、11曲のラヴ・ソングで構成された作品。根岸孝旨や斉藤和義、関口和之、青柳拓次らも参加し完成した本作は、彼女のお得意とするほのぼのとした温かさとポップさ、そして春の日だまりのような明るさと自由さにあふれた、会心作。

青山陽一
『Bugcity』
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CD
徳間ジャパン
TKCA-72140
発売中
¥2,913

様々なロックやポップスを貪欲に吸収しながら、そこに独自の解釈を加え良質なサウンドを発表し続ける青山陽一の名作。ギタリストとしての彼の音楽スタイルは、J-POPSの様々なアーティストにも影響を与えている。本作にはキリンジの堀込泰行氏がVo&Choで1曲参加。アート・ディレクション&イラストは小田島等氏。

玲葉奈
『風をあつめて』
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Maxi Single
Epic Records
ESCB-2180
発売中
¥1,165

はっぴいえんどの2ndアルバム『風街ろまん』に収録の、松本隆−細野晴臣コンビによる名曲をカヴァーした、2001年1月リリースの作品。東レの企業CMとして長期に渡ってテレビでO.A.されているので、耳にされた方も多いのでは?オリジナルの持つアコースティックなテイストと、松本隆が描き出す世界を巧く表現した、好作品。

キリンジ
『Fine』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPC6-10183
発売中
¥2,913

ヒット・シングル「ムラサキ☆サンセット」や、aikoとの共演で話題となった「雨は毛布のように」、さらには美しいバラード「Drifter」をフィーチャーした、キリンジの4thアルバム。定評ある美しいコーラスと、洋楽的なエッセンスを前面に出しつつも一種歌謡曲的な美メロを大事にする独特の作風には、さらに磨きがかかっている。大推薦!

GREAT 3
『When you were a beauty』
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CD
東芝EMI
TOCT-24706
発売中
¥2,913

今年、結成7周年を迎えるGREAT 3が、1月にリリースした本作は、アルバム・プロデューサーとして以前から親交のあるトータスのジョン・マッケンタイアを迎え完成した、充実の内容。ジョンのスタジオでレコーディングされ、ロックの本質を追究したこのアルバムは、各方面から絶賛の声を集めている。7月には初のベスト・アルバムも発売予定!

ワールドスタンダード
『JUMP FOR JOY』
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CD
daisyworld discs/cutting edge
CTCR-14213
発売中
¥2,718

鈴木惣一朗のワールドスタンダードによる最新作。彼がずっと追い求めてきた古き良きアメリカン・ルーツ・ミュージックを今の音楽的手法で再構築し、アコースティックと音響派サウンドが融合した興味深い内容。鈴木惣一朗がメンバーでもあるノアルイズ・マーロン・タイツや、彼のプロデュースで作品を発表している福岡史朗、イノトモも参加。

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