東 龍太郎

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東 龍太郎

その楽曲の中で鮮やかな自己主張をみせるシンガー・ソングライター、
東 龍太郎。音楽業界内では早くも注目されている彼が、
いよいよ『OVER』でデビュー!

(初出『Groovin'』2002年7月25日号)

 誰でもそうだと思うのだが、自分なりの意見や考え方を持っている人に出会うと、ついつい夢中になって話を聞いてしまう。さらに私などは、そこから大きな影響を受けることも多い。だが現実には、そういう人に出会う機会は意外に少ないものだ。そもそも日本人はあまり自己アピールをしない民族なので、確固としたポリシーなんて持っていなくても「没個性だ」なんてやいのやいの言われることもないし、逆にその方が上手く世間を渡って行けたりもする。だけど私はやっぱり、それがどんなにくだらないこだわりであろうと、自己流哲学を貫いている人に大きな魅力を感じてしまうのだ。
 今作でデビューする東 龍太郎は、その音楽の中で自身の哲学を語ることで私を強く惹きつけた珍しいアーティストだ。そんな彼の原点は路上にある。組んでいたバンドの解散をきっかけに、そのうちの1人のメンバーを誘って2人でストリート・パフォーマンスを始めた。最初こそ抵抗があったが、彼はここで初めて、歌う事に対する喜びと自信を感じたのだという。その後ユニットを解散し、ソロで活動を開始。テレビ番組のオーディションで関係者の注目を集め、今回のデビューとなった。
 「OVER」は新人とは思えないほど堂々としたメロディ・ラインとヴォーカルで、聴く者の心をぐっと引き寄せるようなミディアム・バラード。ストリート感あふれるサウンド・アレンジも今の彼には最も相応しいものだろう。何よりも彼の歌の原点となった路上では、今作のような強い吸引力のあるメロディと、大きな説得力のある歌声こそが人々の足を止めさせる武器になったはずだ。また、「頑張っても 届かない時もある 彷徨っても たどり着けない場所もある」と綴られた詞は、一見ネガティヴなようでいて、実はとても前向きなものであることは、この曲を最後まで聴けばすぐにわかってもらえると思う。そしてタイトルの「OVER」は、今作に関しては"終わり"を意味する言葉ではない。過去にプライドを持ち、そこから先の未来へ向かうスタートなのである。彼が何を考え、どういう信念をもって生きているのかということも同時に伝わってくる今作、きっとその言葉に夢中になって聴き入ってしまう人も多いだろう。

Text by 鮎川夕子

『OVER』
東龍太郎-J.jpg



Maxi Single
ユニバーサル J
UMCK-5066
¥1,200(税抜)
発売中

ストリート発のシンガー・ソングライター、東 龍太郎のデビュー・シングルは、新人とは思えないほど堂々としたメロディ・ラインとヴォーカルで聴く者の心ををぐっと引き寄せるようなミディアム・バラード。彼の哲学が表れた奥深い詞にも注目です。

【東 龍太郎 公式サイト】http://www.universal-music.co.jp/azuma/

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