ミュージック・シーンのクリエイターたち 第2回 ニルソン

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第2回 ニルソン Harry Nilsson

最近、イメージ・キャラクターに中田英寿を起用したCMで「うわさの男」が使われたニルソン。確かにこの曲と、もうひとつの代表曲「ウィザアウト・ユー」は、80年代からCMで幾度となく使われお馴染みだが、この2曲、元々はシンガー・ソング・ライターのニルソンが意識して取上げた他人の曲。つまりカヴァーなのだ。ソング・ライターとして詞も曲も書く男の代表作がカヴァーだなんてブラックだよね。そう、今は亡きニルソンはそんなユーモアたっぷりのアーティストだったのだ。そんな彼のRCA時代の作品がBMGファンハウスから、ボーナス・トラック多数で甦る。まさに今春の「山下達郎 RCA/AIR Years」の再発同様、素晴らしい出来事だ。諸君、小遣い貯めて揃えなきゃね。

構成:Brian W. & 土橋一夫(編集部)/Text by Brian W.
(初出『Groovin'』2002年7月25日号)

『パンディモニアム・シャドウ・ショウ』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37241
発売中
¥2,000

記念すべきデビュー作は、ロックが大きく動いた67年のリリース。アルバム全般にあふれる通好みなテイストは多くの評論家やミュージシャンの支持を受け、中でもビートルズのジョン・レノンは自分達のレーベルに迎えたがったほど。「ウィザウト・ハー」に涙。

『空中バレー』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37242
発売中
¥2,000

68年発表。フレッド・ニールの作品をニルソンが歌い、映画「真夜中のカウボーイ」主題歌として大ヒットした「うわさの男」を収録。ここでのオススメは同曲ももちろんだが、スリー・ドッグ・ナイトがカヴァーしヒットさせたニルソン作の「ワン」。他にも佳曲揃いの好盤だ。

『ハリー・ニルソンの肖像』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37243
発売中
¥2,000

ロック史に残る69年の名盤。個人的にもシンガー・ソングライターの作品として最高峰に位置すると考えている3rdアルバム。全曲はずれなしだが、「モーニン・グローリー・ストーリー」の歌詞や、カヴァー曲「マザー・ネイチャーズ・サン」「ミスター・ボージャングル」の出来が秀逸。

『ランディ・ニューマンを歌う』
ランディ・ニューマンを歌う-J.jp

CD
BMGファンハウス
BVCM-37244
発売中
¥2,000

70年発表。自分で曲を作るニルソンが全編カヴァーをしたくなるほど、そのぐらい素晴らしいランディ・ニューマンの作品たち。それらをあたかも自作曲のようにニルソン流に歌い上げ、聴かせてくれる。ヴァン・ダイク・パークスでお馴染みの「ヴァイン通り」から始る素敵な1枚だ。

『オブリオの不思議な旅』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37245
発売中
¥2,000

71年発表。ライヴを一切やらなかったニルソンだが、サントラには意欲的に取り組んでおり、これはその中でも最初期の1枚。もちろんTVアニメのサントラという制約があるものの、そこはニルソン。もともとの世界を崩さず、単体の作品としても聴き応え充分。ジャケットも良い。

『ニルソンの詩と青春』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37246
発売中
¥2,000

1stと2ndのエッセンスを上手く配合し、リミックスやコーラスを追加するなど手を施して再生させた、71年リリースの準BEST盤がコレ。今でこそ珍しくない手法だが、当時としては画期的。次作『ニルソン・シュミルソン』の音世界の予告編といった意味合いもあるのか?楽しい1枚。

『ニルソン・シュミルソン』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37247
発売中
¥2,000

売れっ子プロデューサー、リチャード・ペリーを迎え、従来とは異なるスタッフ起用で「音」を一新した感のある、71年発表の代表作。ビートルズの弟分として売り出し中のバッドフィンガーのカヴァー「ウィザアウト・ユー」が大ヒットし、グラミー賞も獲得。UK録音主体の作品。

『シュミルソン二世』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37248
発売中
¥2,000

72年発表。大ヒットした前作の音世界を継承し、また当時の交友関係を反映してビートルズのジョージ・ハリスンやリンゴ・スターを迎えて制作された、豪華絢爛のロック・アルバム。「スペースマン」のハードさはデビュー当初の彼からは想像もつかないほどだが、今となってはコレも僕らのニルソンだ。

『夜のシュミルソン』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37249
8月21日発売
¥2,000

初めて聴いた時の心地よさったらなかった。70年代初期の亜米利加Good Old Daysムーヴメントに即応したスタンダード曲集だが、フランク・シナトラの編曲を手がけるゴードン・ジェンキンズを起用するなど半端じゃない凝った作りが話題を呼ぶ。73年に発表され、企画盤ながら全米45位を記録。

『プシー・キャッツ』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37251
8月21日発売
¥2,000

74年発表。ジャケからして凄い。何と言ってもジョン・レノンとの共演(狂演?)が話題。大酒と煙草に2人して耽溺していた(だろう)時期の作品で、声からして荒れているが、ロックン・ロール人生の体現化とばかりに歌い吠える泣ける1枚。「遙かなる河」で決まり!の名盤だ。

『俺たちは天使じゃない』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37252
8月21日発売
¥2,000

75年リリース。キリストをパロったジャケといい、それだけで問題作一直線なこのアルバムは、制作にヴァン・ダイク・パークスを迎え、当時、ヴァン・ダイクもはまっていたカリプソ風味も感じられる、しかし全体的にはニルソン版「未完成」な趣きさえある作品集。私、愛着の強い盤です。

『眠りの精』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37253
8月21日発売
¥2,000

76年発表。前作からほとんど間を置かず発売された作品で、ヴァン・ダイク・パークスに加えレオン・ラッセル、ジェシ・エド・デイヴィスら豪華ゲスト陣も話題となったが、なんともネジくれた屈折具合はこの頃のニルソンならではか。ジャケもブラック・ユーモア全開。本作が駄目ならニルソンは聴かない方がいい?

『ハリーの真相』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37254
8月21日発売
¥2,000

久々に全曲カヴァーのアルバムで、76年リリース。それこそドゥ・ワップからランディ・ニューマンまで五目味の1枚。中でもジョージ・ハリスンの名曲「ザット・イズ・オール」のカヴァーは、同時期にアンディ・ウイリアムス版も存在するが、出来映えはニルソンに軍配が!

『クニルソン』
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CD
BMGファンハウス
BVCM-37255
8月21日発売
¥2,000

RCAでのラスト作となった77年の本盤は、全曲彼のオリジナルで構成。満を持したアルバムだったが、エルヴィス・プレスリーの死に伴いプロモーションや世間の波はそちらに傾き、その余波で当時は意外なまでのセールス不振。しかし今聴けば紛れもなきニルソン・ワールドが展開された作品。ジャケットはクラウス・ヴァーマン作。

■ニルソン・オリジナル・アルバム・コレクション

このコーナーでご紹介しましたCDは、「ニルソン・オリジナル・アルバム・コレクション」として7/24と8/21の2回に分けて計14タイトルが、BMGファンハウスからリイシューされております。ニルソンと言えばソングライターとしても名曲を多く残し、またシンガーとしても独特の深い味わいを持っていることで知られ、ジョン・レノンをはじめ多くのアーティストたちにも影響を与えました。60〜70年代にRCAに彼が残したこれら作品は、きっとリスナーの皆さんの心にも感動を与えてくれるはずです。なお今回の「ニルソン・オリジナル・アルバム・コレクション」シリーズは、もちろん全タイトルに歌詞・解説・対訳が付き、さらにK2 24bitマスタリングで音質もアップ!その上、ボーナス・トラックも、世界初/日本初CD化のものを含む貴重音源がかなり追加されております。ニルソンのカタログとしては、過去にないほど充実した内容の本シリーズを、是非店頭でチェックしてみて下さい。渚十吾さんや片岡知子さんらによる充実したライナーノーツも、必読です!

【ニルソン 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/BV/NILSSON/

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