MY BEST CHOICE!

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第30回 
高田公之(島田駅前店 店長)

(初出『Groovin'』2002年7月25日号)

 今回"My Best Choice!"のお話を頂いて、どのCDを選べば良いのかすごく悩みましたが、ジャンルにこだわらずエネルギッシュな音楽が好きな私ですし、"スラッシャー真田"さんの後を引き継いで島田駅前店店長になった記念の原稿ですから、やはりここはHM/HRでひとつキメてみようかと思います。
このアルバム、若きメタリカがメジャー・シーンに殴り込みをかけるきっかけとなった2ndアルバムですが、そもそも音楽って、いろんな音程の音をいろんな時系列に配置する事によって出来るメロディーという物から成り立っているのが常識だと思います。しかしこのアルバムは、その常識を覆してくれました。
 アコースティック・ギターによる美しいメロディーからアルバムは始まりますが、それが突然途切れた時始まる凄まじいまでのスピード・ピッキングの中には、それまで自分の常識の範囲内にあったメロディーというものは一切存在しませんでした。にもかかわらず、その破壊力は抜群で、これを聴いた瞬間から自分の中でメタリカ及びHM/HRの占める位置はグッと高まったのであります。(注意:ここで言う「破壊力」というのは、人間の精神力を再生させる力といった様な意味で用いているのであって、決して人格が破壊される訳ではありません。)
 この1曲目の「Fight Fire With Fire」でメタリカがとった手法はその後のスラッシュ/パワーメタル・アルバムの定番的手法になりました。そういえば、初来日の演奏プログラムの最後はこの曲でした。アンコールの最後ですよ。アコースティック・ギターのあの旋律が場内に流れ出した瞬間に上がった、男どものウォーッと言う歓声、"Metal Up Your Ass!"のアンコール・コール、力いっぱいヘッド・バンギングし続けた事、次の日、手で支えてないと首が上がらなくなり、学校まで片手でバイクを運転して行った事などなど、懐かしい思い出ですね。
 書いているうちに、すごくノスタルジックな気分になってきてしまいました。季節はずれの五月病にかかるとまずいのでこの辺で!(笑)

*なお次回は布施紀子氏(すみや八王子越野店)が登場します。お楽しみに。

メタリカ
『ライド・ザ・ライトニング』
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CD
Sony Records
25DP-5340
¥2,280(税抜)
発売中

本文中ではメロディーがないみたいな書き方していますが、各曲が核戦争、電気椅子、安楽死など、「死」をテーマに扱うコンセプト・アルバムでもあり、本当は随所に秀逸なメロディーがちりばめられた名盤です。捨て曲なし。メタラー必聴の1枚です!

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