AOR BEST COLLECTION

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ここ2〜3年AORもののリイシューが盛んで、各社合同のコンピレーション盤もリリースされてきた。しかしそれらは一部のAORファンの欲求を満たす程度のもので、70年代後半〜80年代前半にかけてのAORブームの興奮が再び…というわけではなかった。それが今年はどうも違う。春先に発売されたAORのコンピ盤『BREEZE〜AOR best selection』が異例の大ヒットとなったからだ。それを受けて、この夏『BREEZE〜』の第2弾、そして雑誌「BRIO」との共同企画でのコンピ盤の、計2枚がリリースされた。AORは生活の中にあってこそ、その輝きを増し潤いを与えてくれる。そこでこのコーナーでは、これらコンピ盤の他にAORの名盤を取り上げてみた。きっと素敵なサマー・ブリーズが見つかるはず…。(常盤安信)

Text by Brian W.(本社ソフト営業部MDM)/小島康久(本社ソフト営業部MDM)/常盤安信(横須賀佐原店)
(初出『Groovin'』2002年7月25日号)

V.A.
『BREEZE〜AOR best selection』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICP-61778
発売中
¥2,500

タイトルどおり、爽やかな風を思わせる音が心地よく詰まっている。一見なんでもないような選曲でありながら、ジャケットに永井博氏のイラストを使う気配り。時代の空気感をうまくとらえていて素晴らしい。オススメは何と言ってもキャロル・ベイヤー・セイガー。(Brian W.)

V.A.
『BREEZE SUMMER AOR BEST SELECTION』
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CD
ビクターエンタテインメント
VICP-61910
発売中
¥2,500

"大人の夏の休日"を意識したというが、少年でも充分に楽しめる好盤。前作同様よく気がつく執事の如き選曲は、レーベルを越えての快挙連発。ジェイ・P・モーガンとカラパナ、カーラ・ボノフを1枚で聴けるなんて!ささ、今夏こそ軽井沢に行かねば、と固く誓いたくなる。(Brian W.)

V.A.
『BRIO presents AOR best selection〜On Shore〜』
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CD
Sony Records Int'l
SICP-176
発売中
¥2,400

雑誌「BRIO」との提携で生まれたAORコンピ。こうしたCDの生命線である選曲は秀逸。この手の音で一世を風靡したワーナー&CBS音源をバランス良く配置、聴く者をして海岸道路クルージングへ誘う感がある。懐かしや「ロンリー・フリーウェイ」by ラリー・リー!(Brian W.)

V.A.
『BRIO presents AOR best selection〜Off Shore〜』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-11228
発売中
¥2,400

大人の為のAORセレクションという「BRIO」な選曲。思わずイタリア製のスーツのひとつも買いたくなるのは私だけじゃないはず。ロビー・デュプリーを大事に大事に聴いていたあの頃が甦るぞ!な、まったく罪作りな1枚。メロディの良さが売りの楽曲、目白押しだ。(Brian W.)

ニック・デカロ
『イタリアン・グラフィティ』
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CD
ユニバーサル インターナショナル
MVCM-21036
発売中
¥1,942

"ポップ・ミュージックにジャズやソウルのエッセンスを加えてみたら…"というコンセプトで作られた、74年発表のAORの原点ともいうべき記念碑的アルバム。カヴァー曲が中心のセンスの良い選曲。バックのジャズ・ソウル系のミュージシャンも渋いプレイで楽曲をさらに引き立てている。
(常盤安信)

ボズ・スキャッグス
『シルク・ディグリーズ』
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CD
Sony Records
SRCS-9234
発売中
¥1,942

のちにTOTOとなるバック・バンドともに作り上げた本作は、76年発表の言わずと知れた名盤。モシャ・ブラカによるセンスの良いジャケットとソフィスティケイトされたアーバンなサウンドが相互に作用し、その後のAORブームを決定づけた。スタンダード化した名曲「二人だけ(We're All Alone)」収録。(常盤安信)

マイケル・フランクス
『スリーピング・ジプシー』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-2543
発売中
¥1,748

全世界にソフト&メロウ・ブームを巻き起こした、彼の最高傑作。現在ではスタンダードになった「アントニオの歌(虹を綴って)」等、名曲揃い。デヴィッド・サンボーンとマイケル・ブレッカーという2大(?)サックス・プレイヤーのニュアンスの違いも堪能できます。(小島康久)

ネッド・ドヒニー
『ハード・キャンディ』
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CD
Sony Records
CSCS-6022
発売中
¥1,748

開放感に満ち、夏っぽさ満点のジャケットが印象的な76年発表の本作は、独特のメロディ・ラインとコードにソウルやジャズの要素を取り入れたアコースティック・サウンド。フリー・ソウル・シーンにおいてもアコースティック・グルーヴの名盤として人気がある。(常盤安信)

ボビー・コールドウェル
『イヴニング・スキャンダル』
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CD
ユニバーサル インターナショナル
POCP-1831
発売中
¥2,000

"ミスターAOR"の異名をもつボビー・コールドウェルの代表作といえば、なんといっても78年発表のデビュー作であるこのアルバム。クラブ人気もあるマイアミ・ソウルな「風のシルエット」、「Special To Me」「Come To Me」など、CM等で聴き馴染みのあるナンバーを収録。(常盤安信)

エア・プレイ
『ロマンティック』
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CD
BMGファンハウス
BVCP-7378
発売中
¥1,748

プロデューサー/アレンジャーとして知らない人はいない、デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドンの2人が新進気鋭の頃に作った80年発表の唯一のアルバム。全世界に衝撃が走ったほどシーンに大きな影響を与えたAORの金字塔。ハイトーンのトミー・フェンダーバーグのヴォーカルも完成度を高めている。(常盤安信)

クリストファー・クロス
『南から来た男』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-1164
発売中
¥1,748

自ら"天から降ってくる"と形容した流麗なメロディとクリスタルなハイトーン・ヴォイス、そしてツボを得たマイケル・オマーティアンのプロデュース・ワークが一体となって作り出された、80年発表のデビュー作にしてメガヒット・アルバム。とにかく爽やかで心地良い、AORの代表的1枚。
(常盤安信)

TOTO
『TOTO Ⅳ〜聖なる剣』
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CD
Sony Records
SRCS-9040
発売中
¥1,553

スタジオ・ミュージシャンの集合体であるTOTOこそが、AORを支えていたといっても大袈裟ではない。82年発表の本作は、「ロザーナ」「アフリカ」の大ヒット曲を収録し、グラミー賞6部門を独占受賞した名盤。クラブ系で人気の「Georgy Porgy」収録のデビュー作と、ジェセフ・ウィリアムスがシンガーを務めた2作もオススメ。(常盤安信)

シカゴ
『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』
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CD
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-1089
発売中
¥1,748

ブラス・ロックからバラードの似合う大人のロックへと路線を変更し、シカゴのターニング・ポイントとなった82年発表のアルバム。プロデューサーにデヴィッド・フォスターを迎えた本作では、ヴォーカルにビル・チャンプリンが加入し、フォスター色が濃いアルバムとなった。名曲「素直になれなくて」を収録。(常盤安信)

スティーリー・ダン
『幻想の摩天楼』
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CD
ユニバーサル インターナショナル
UICY-3025
発売中
¥1,942

何たって最初の3曲でキマリです。一般的には次作の『彩(エイジャ)』を推すのだろうが、この緊迫感や怒涛の音作りはそれ以上。バジー・フェイトンをはじめとする手堅いバッキング勢の演奏も見逃せない。印象的なジャケットも、あなたのCD棚には必要な「絵」になるかと…。(Brian W.)

フル・ムーン
『フル・ムーン』
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CD
ドリームズヴィル
YDCD-0033
発売中
¥2,200

「知られざる幻の名盤」とはこのアルバムのことを言う、と、かのピーター・バラカン氏も絶賛の1枚。JAZZやブルースのエッセンスを巧みに消化し、大人の鑑賞に堪えうる作品に仕上げたバジー・フェイトン以下のメンバーに感謝。まだお持ちでない方は、是非お求めを。(Brian W.)

バジー・フェイトン&ニュー・フル・ムーン
『フル・ムーン・セカンド』
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CD
ドリームズヴィル
YDCD-0083
発売中
¥2,500

フル・ムーンの30年ぶりの新作が出るなんて信じられない、という声も多いが、本盤を聴けば、今度はその質感の高さに驚くこと請け合い。中でもオススメは「ヘイ・ディンウィディ」。バジー・フェイトンが「喜びに満ちた曲」と言うとおり、アルバムの冒頭を飾るにふさわしい曲だ。(Brian W.)

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