アヴリル・ラヴィーン

ARTIST PICK UP

アヴリル・ラヴィーン

ブロンドの髪に、メグ・ライアンを彷彿とさせる美貌。
しかしながら、本来の彼女の魅力はパワフルな歌唱力、類いまれなるソングライティング能力。
瑞々しくハジけてる、ちょっと普通じゃない17歳の女の子、"アヴリル・ラヴィーン"、いよいよデビュー!

(初出『Groovin'』2002年7月25日号)

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 2002年も数多くの新人アーティストがデビューし、音楽好きの僕らを楽しませてくれているが、今年の夏を更にヒートアップさせてくれるであろう、全世界で大注目の女性ロック・アーティストの登場だ。カナダ、オンタリオ州のNAPANEEという人口5000人程度の小さな村出身の弱冠17歳の"アヴリル・ラヴィーン"。その実力で既に音楽業界を騒然とさせている大型シンガー・ソングライターなのである。
 幼少時代の彼女は、集団の中心でないと我慢できず、他人の注目を浴びる為に叫んだりするようなワイルドな子だったという。自己流でモノにしたギターで12歳から曲を書きはじめ、教会でゴスペルを歌ったり、タレント・コンテストに出たりしていたが、16歳の時に現レコード会社にスカウトされ契約。その後、楽曲制作とレコーディングの為、N.Y.に移住するもストレスが溜まり、我慢できなくなった彼女はL.A.に再移住、これが吉と出る。今作のプロデューサー・チームと運命的に出会い、意気投合。いきいきとした彼女は更に楽曲制作を続行、デビュー・アルバムとなる今作『レット・ゴー』を完成させた。
 さて肝心な今作『レット・ゴー』の中身だが、趣味がスケートボード、ホッケー、狩り、キャンプという、ちょっとワイルドな17歳の彼女の瑞々しい感性が溢れた、SPUNKY ROCK全開のゴキゲンな1枚に仕上がっている。一緒に歌えばハッピーになれるメロディック・パンクの「Sk8er Boi」、静と動の対比が顕著なヘヴィ・ロック調の「Losing Grip」、彼女のヴォーカリゼーションを堪能出来る壮大なバラード「I'm With You」、1度聴いたら忘れられないサビがもの悲しい「Complicated」等、要は彼女の非凡な才能を見せつけられたという事。捨て曲一切なし、全曲シングル・カットOK。自分のスタイルを一言で表すと?という質問に、「スケーターとパンクのミクスチャー」と断言する彼女の"いま"が満ち溢れた魅力的な作品だ。
 彼女はこう語る。「曲作りは大好きよ。他人の曲では自分を表現できないの。そんなストレスを感じた時、そして誰も話す相手がいない時に私はギターに話しかけるの。まるで友達に話しかけるかのように。そうすると胸につかえたものが収まって、気分が良くなるの。私にとってギターは一種のセラピストだわ」更に、「本当に世界中を揺るがしたいの。そして私の音楽は心の中を正直に映し出したものなのよ。自分に対して正直であること、これが私の音楽の基本なの」…とてもアーティスティックな言葉である。そして今作『レット・ゴー』は、彼女のその言葉通り、17歳の今やりたい事、今でないと出来ない事が隅々まで詰まった、感動すら覚える作品でもある。
 彼女の心の中を正直に映し出し、そして音楽に対する希望、愛情、熱意がひしひしと伝わってくるこの『レット・ゴー』を聴いて僕は、彼女がその音楽で世界中を揺るがす日はそう遠くないだろうと確信した。あらゆる意味で内容の濃いこの作品に出会えて、本当に嬉しい。

Text by 大林 誠(大仁店)

『レット・ゴー』
アヴリル・ラヴィーン-J.jpg




CD
BMGファンハウス
BVCA-27013
¥2,000(税抜)
発売中

スケートボード好きだという彼女の、ティーン・エイジャーらしいパンキッシュな魅力が溢れたデビュー・アルバム。152センチという体からは想像がつかない程の歌唱力、確かなソングライティング能力が随所で際立つ作品。今年の新人賞レースは彼女でキマリでしょう。

【アヴリル・ラヴィーン 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/BV/avrillavigne/

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