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aikoが待望のニュー・アルバムをリリース。
生きてる喜びと生きるための努力が入った感じのアルバム、
それが『秋 そばにいるよ』なのかもしれない(笑)。

(初出『Groovin'』2002年8月25日号)

aiko-A.jpg 秋は夕暮れがいい、と言ったのは清少納言。それから何世紀もの時が流れ、21世紀になった今でも、やはり秋の夕暮れに漂う情緒には特別なものがあると思う。もの哀しいような、人恋しいような、1人でもの想いにふけりたくなるような…、そんなことをふと思ったりした。aikoの4thアルバム『秋 そばにいるよ』は、そういう心のなかにある秋の情緒を、さり気なく刺激するアルバムだ。
 「夏って、みんなで遊びに出かけて騒いだ想い出のほうが強いんですけど、秋は夏っていう祭りのあとというか。夏モードを切り替えて、仕事や学校に行かなきゃいけないから、しっかりしなきゃみたいな気持ちになって。で、自分を見つめ直したりすることも多かった季節なんですね。それと同時に気候や街並みや、赤茶色した夕焼けの色がすごく貴重に思えたりもして。そういうなかで、いつも音楽は近くにあったなぁって思い出して。それで、このアルバムも聴く人にとって、そうあってほしいと思ったんですよね」
 収録曲はシングル「おやすみなさい」「あなたと握手」「今度までには」を含む全13曲。そのシングル3曲自体、ベクトルが全く違う楽曲だったわけだが、アルバムになると各曲の
方向性はさらに細分化され、まさに百花繚乱状態。ブラスバンドをフィーチャーしたアップ・ナンバー「クローゼット」があると思えば、どこかファンタジックに曲が展開していく「木星」もあり、オルゴールの音とクラシカルなアレンジのストリングスが効果的な「心に乙女」まである、という具合。aiko自ら「今回はもうホントに、1つ1つの色が強くて曲順を考えるのに苦労した」と言っているが、それも当然な、サウンド面だけ取り上げてもマイリマシタのひと言に尽きる、豊かなヴァリエーションに富んだ作風となっている。「1曲1曲の色がパキッと出てますよね。だから最後、大変なことになったんやけど(笑)。でも今回は、マジでいいレコーディングでしたね。チームワークとして味が出てきたというか。そのぶん求めるものも大きくなってくから、曲も音も歌もハードルは高くなるんですけどね。せやから全員が全員、身を削ることになったのかもしれない(笑)」
 また歌詞に関しても、今回はさらに感情の隅々にまで目がいきとどいた曲揃い。もともと、"なるほど、これを言うとは…"という表現に満ちたaikoソングではあったが、そこにまろやかな滋味がドーンと加わったかのよう。どういう感情をとらえた歌詞であっても、底の底に常に包容力がある今回の歌たちは、タイトルどおり生活のさまざまな場面で"そばにいてくれる"歌だと思った。
 「振り返って見てみると、相手にどうしてほしいというよりは、自分がどうしたらいいのかってことを書いてる感じがした。あと、前みたいに"好きー!"だけじゃなくなったな、とも思った。恋をすると楽しいだけではすまないけれど、でももっとあったかいものも感じられるって曲があったりね。深い歌詞が多い?あ〜それはあるかも。いろいろ知って、なんにしろ日々努力と思ったから。特に新しい人との人間関係は、そうで。なのでこのアルバムは、生きてる感じと生きるための努力が入った感じと言えるかもしれない(笑)」

Text by 前原雅子

『秋 そばにいるよ』
aiko/秋 そばにいるよ-J.jpg



CD
ポニーキャニオン
[初回限定盤]PCCA-01777
[通常盤] PCCA-01778
¥2,913(税抜)
9月4日発売

ヒット・シングル「おやすみなさい」「あなたと握手」「今度までには」を含む全13曲を収録したaikoの4thアルバム。今作に収録の「それだけ」はテレビ朝日系ドラマ「科捜研の女」主題歌となっている。

※写真は初回限定盤のジャケットです。

【aiko Official Home Page】http://aiko.can-d.com/home.html

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