クイヌパナ

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クイヌパナ

スピリチュアルな世界観とファンクの深いシンクロは、魂の解放をも促す!
クイヌパナの2ndマキシ・シングル『FUNKACHA!』は、
自らのルーツをその名に背負う彼女の本能そのものだ。

(初出『Groovin'』2002年8月25日号)

 …暑い。ヒートアイランド現象だか何だか知らないけれど、連日ほんまにクソ暑い。なのに、エアコンを1秒たりともつけることなく、ダラダラと汗をかきながら原稿書きにいそしむ奇特なライター、それは私です。この冷房嫌い(feat.電気代節約)故のにわか我慢大会は、「あちぃ、ばっか言うな!余計に暑くなるやんけ」という自己ツッコミのルーティン化をよそに、本日もつつがなく行われている。
 でも、これでいいのだ。夏は本来、暑くて当たり前。それを全面否定し、冷房のフル稼動を良しとする方が間違っているのだから。誰です?夏なのに「寒い」なんぞと言っているのは。そんな狂い気味の季節感をぶっ飛ばし、灼熱の太陽を正しく感じさせてくれるのが、このクイヌパナの2ndマキシ・シングル『FUNKACHA!』だ。
 不穏な空気を醸し出すイントロが突然、化ける。ホーン・セクションが炸裂し、ヘヴィなリズムが大きなうねりとなって腹を直撃。何というグルーヴ感、何というファンクネス!更に、マットで厚みのある彼女の声が、後から後から溢れ出る情熱のほとばしりと一体化し、計り知れないほど奔放なエナジーを生み出していく。それは、私達が忘れかけていたプリミティヴなパワーそのもの。太陽と星の下で自然の鼓動を感じながら、湧き上がる感情のままに素足で踊る…魂の解放をも促すこの至福のひとときを、本作は心ゆくまで味わわせてくれるのだ。
 でも、それはそんなに驚くべきことではないのかもしれない。彼女が生まれ育ったのは日本の南端に位置する石垣島。彼女の核をなしているのは、神々と自然、そして人間との調和を大切にする彼の地の文化であり、それがブラック・ミュージックの本質と深くシンクロすることによって、スピリチュアルな世界観を内包する独特のヴォーカル・スタイルへと生まれ変わったのだと思うから。
 石垣島付近にある彼女の母の故郷・新城島の景勝地クイヌパナ。この名は沖縄本島へ渡り、「恋の花」を意味するようになったという。自らのルーツをその名に背負った彼女の本能、それをストレートに体感できる本作は、太陽の恵みを満喫できる今のこの季節にこそ、ぜひとも聴いて欲しい1枚だ。

Text by 秋野 櫻

『FUNKACHA!』
クイヌパナ-J.jpg



Maxi Single
ブーガルー
HGCB-2004
¥1,165(税抜)
発売中 

今年5月に「ebony star」でデビューを果たしたクイヌパナ。石垣島出身の彼女が放つ待望の2ndマキシ・シングルは、前作同様自ら作詞を手掛け、パワフルに歌い上げた文句ナシのアッパー・ファンク・チューンだ。ラテンジャズ・テイストのカップリング曲「赤い嵐」も美味。

【PANA 公式サイト】http://www.highwave.co.jp/pana/pana.html

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