熊木杏里

ARTIST PICK UP

熊木杏里

デビューから約半年、じっくりと創り込まれたセカンド・マキシ・シングル。
ここに収録された3曲の楽曲は、
聴き手に「癒し」や「懐かしさ」を超えた何かを感じさせる。

(初出『Groovin'』2002年8月25日号)

熊木杏里-A.jpg 「かわいい!」初めて歌番組で彼女を見た時の率直な感想。そして、3月に終了したテレビ番組「嗚呼!バラ色の珍生!」のオーディション出身者という事ぐらいしか予備知識のないまま、彼女の歌を聴いた。びびった。さすが応募者5210名の中から勝ち上がったアーティスト!かわいいはかわいいが、そんなのどうでも良くなるぐらい、彼女のアーティストとしての力量、実力はすごかった。無名の新人投手に完封負けをくらったような衝撃だった。
 そんな彼女の世界を箇条書きにしてまとめるとこんな感じになる。①懐かしさと神秘性を感じる透明な歌声。②作詞、作曲を自分でこなし、その世界が○○のようなという誰かのマネではない、独自性を持っている。③アコースティック楽器を基調にし、心温まるメロディで詞を伝える。
 次にこのマキシに収録された3曲を解説していこう。大きく深い恋愛心情を、懐かしいメロディと透明な歌声に乗せて奏でるタイトル曲「咲かずとて」。咲かない恋、咲けない恋、でも人は愛さずには生きていけない。大きく深い恋愛心情を今の彼女の言葉で正直に綴っていて、とても好感が持てる詞だと思う。さらにその言葉は、私たちが日頃忘れがちな正直な人間的感情を呼び起こしてくれるだろう。「二色の奏で」は、自分たちが何気に生きているこの世界でも、どこかで人が死んでいる。でもそんなこと気にも留めないで笑って過ごしている。サビで激情的に変化するサウンドが、そんな矛盾に対するやりきれない感情を一層強めている。「まよい星」では、シンプルなアレンジで3曲中最も彼女の透明なヴォーカルが堪能できる。いろいろあるけど迷った時は星を見れば大丈夫なんだ、と主義主張の強い他の2曲とは対照的に爽やかな曲。中盤から入るアレンジも手伝って、優しい星空の下に実際いるような感覚が楽しめる。
 まだまだこれからの成長が期待出来る熊木杏里。百聞は一見にしかず、これを読んで興味を持ってくれた人は手にとって、そして聴いてみて下さい。特に感受性の強い人にオススメかな。

Text by 麦山幸男(木更津桜町店)

『咲かずとて』
熊木杏里-J.jpg




Maxi Single
バップ
VPCC-82167
¥1,143(税抜)
発売中

シンガー・ソングライター、熊木杏里のセカンド・マキシ。咲かない恋、咲けない恋、でも人は愛さずには生きていけない。大きく深い恋愛心情を、懐かしいメロディと透明な歌声に乗せて奏でる「咲かずとて」。彼女の音楽は正直な人間的感情を呼び起こしてくれる。

【熊木杏里 OFFICIAL WEBSITE】http://www.kumakianri.com/

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