ジェフ・ラーソン

ARTIST PICK UP

ジェフ・ラーソン

サンフランシスコから時代を超えて届けられた、新しいのに懐かしいメロディ。
ジェフ・ラーソンのこの1枚は、本邦デビュー作にして
米国西海岸音楽の"定盤"と呼べる作品だ。

(初出『Groovin'』2002年8月25日号)

 ジェフ・ラーソンは、サンフランシスコ出身のシンガー・ソングライターで、これまで2枚のアルバムをリリースしており、日本でのデビュー作である本作はサード・アルバムだそうだ。
 さて、このアルバムのリード曲「ファラウェイ・メアリー」を初めて聴いたのは夏がはじまる頃。そして印象はといえば、「いまどきこんなに素敵なウエスト・コースト・サウンドを聴けるなんて!」に尽きる。美しいメロディ、ちょっと甘めのヴォーカル、爽やかなハーモニーもひたすら心地よい。そう、まさに1975年のアメリカ西海岸を想起させる音。その時代に青春を送った人ならば、イーグルス(それもグレン・フライのテイスト)やアメリカ、はたまたフールズ・ゴールドの1枚目あたりを思い出すのでは。これはアルバム冒頭を飾る「プレイス・ホエァ・アイ・ビロング」や2曲目「ウォーターシェド・ガール」を聴けば納得してもらえると思う。実際参加アーティストの顔ぶれを見ると、ポコや後期イーグルスでハーモニーの要だったティモシー・B・シュミット、アメリカの面々。そして、最近はブライアン・ウィルソンのツアー・バンドのバンマスであり、美しいファルセット・ヴォーカルには定評のあるジェフリー・フォスケットも8曲に参加するなど、これぞ"盤石"な布陣。
 だからといって、ここに収められた曲たちを単に「ノスタルジックな音」で括ってしまうのは誤りだ。むしろ、仕立ての良い白いボタン・ダウンのシャツにも似た、時代を超えた普遍性を感じて欲しいもの。だからOVER30の「本物志向」の方には特にオススメだ。ちなみにこの手の音には一家言ある長門芳郎さんは、ジェリー・ベックリー作、ハーモニー・ヴォーカルの「ノーマン」がお気に入りとか。
 さてこんな上質な音楽を聴くには"場"も選ばねば。私ならば、栃木の板室街道を那須高原に向けて走りつつ聴く。あるいはその途中にある『カフェ・ノビロ』で、(優しい雰囲気の)オーナーにお願いして店でかけて頂き、オープン・テラスで…なんて設定はいかがだろう。ちなみにここのドライ・カレーはこのアルバムとおなじくらいに美味いので、現実に試されん事もオススメしたい。

Text by Brian.W

『フラジャイル・サンライズ』
ジェフ・ラーソン-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICP-61977
¥2,400(税抜)
発売中

米国西海岸の伝統的?な爽やかさ、そして美しいメロディ、心地よいヴォーカルは音楽のカテゴリーを超えて多くの人を魅了するに違いない。イーグルスのティモシー・B・シュミットはじめ、アメリカ、そしてジェフリー・フォスケットらが参加。どの曲も粒ぞろい捨て曲なしが嬉しい。本物が分かる方にはぜひ。

【ジェフ・ラーソン 日本オフィシャルサイト】http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A017375.html

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