GLAY

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前作『ONE LOVE』から約1年。その続編と言うべきアルバムがリリースされる。
『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』は
自分達と共にある、かけがえのないものへの思いに溢れた作品。

(初出『Groovin'』2002年9月25日号)

GLAY-A.jpg デビューから一貫して、音楽を通して真実や愛や理想を伝えようとしてきたGLAY。1999年リリースのアルバム『HEAVY GAUGE』では、改めて自分達自身と真っ直ぐ向かい合ったようだった。そして昨年、アメリカのテロ事件後に、彼等なりの大きなテーマを掲げたアルバム『ONE LOVE』を発表した。そんな前作から約10ヶ月ぶりに、アルバム『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』がリリースされる。意外にリリースが早い気がした今作だが、きっと彼等の中にまだちゃんと、あの悲しい出来事を忘れてはいけないという意識があるのだろう。そして今なお、自分達に出来ることを探し続けているのではないだろうか。
 「これ、GLAYのアルバムだったはずだけど…?」1曲目からいきなりのスケールに驚かされる。曲の前半はオーケストラのみで演奏され、途中からバンドの音とヴォーカルがそこへ重なる。そして後半部分へ向かって、音の厚みがどんどん増していく。音の波が次々と押し寄せてくる。今から壮大な物語が繰り広げられる事を予感させるような1曲目をイントロダクションとして1曲1曲聴いていくうちに、ハードな曲は今回は無く、ミディアムなナンバーが多いことに気付く。洋楽的なアプローチやゴスペルなどを取り入れた実験的な楽曲も収録されている。そしてラストの「ALL STANDARD IS YOU〜END ROLL〜」が流れた後には、まるで1本の映画を観終わったような満足感が残る。その満足感と、言いようのない幸福感から、何度でも聴きたいと思えてくる。
 今回収録されている曲の作詞は全てギターのTAKUROが手掛けており、どれも日記的で身近な内容だ。人生を表した「航海」は、先日行われたFCライヴでも披露され、このアルバムの中でも大きな役割を持っているようだ。また、シングルのカップリング曲を滅多にアルバムに収録しないGLAYだが、今回「Way of Difference」のカップリング曲「卒業まで、あと少し」が収録されていることは注目すべき点だろう。それだけ「友情と思い出、そして今」を綴ったこの曲に対する思いは強いのだろう。この他にも、女性の気持ちを表したバラードや、何気ない日常の風景と穏やかな幸福感に溢れた曲、そしてずっと受け継がれていくべき大切な思いが表れた曲など、GLAYらしいナンバーが揃っている。
 前作『ONE LOVE』を発表した後に、メンバーが「『ONE LOVE』には収録されなかった、いい曲が他にもたくさんできた。だから、次のアルバムは"ANOTHER SIDE OF ONE LOVE"になると思う。」と話していた。つまり今作は『ONE LOVE』の兄弟的な作品ということだ。改めて、今作のタイトルにも注目してみる。『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』の「UNITY ROOTS & FAMILY」とは、「自分達と共にあるもの。縦、横の繋がり」。そして「AWAY」とは「それらの、出会ったもの、見つけたものを大切にし、新たに歩み出す」という意味を表しているという。
 どの曲にも、愛情を注ぐべきあらゆる対象…家族、恋人、友、思い出…そして自分自身の姿がある。それらは全て、生きていく上で大切なもので、前作『ONE LOVE』にも繋がっている。いつも以上にじっくりと時間をかけてレコーディングされた今作。かけがえのないものについて改めて考えさせられる、そんなアルバムだ。

Text by 二宮万里(編集部)

『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』
GLAY-J.jpg




CD
UNLIMITED RECORDS/mustard
PCCY-00015
¥2,913(税抜)
発売中

前作『ONE LOVE』から約10ヶ月ぶりにリリースされるGLAYの最新作『UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY』。ハードな曲の多かった前作と対を成すような、穏やかなナンバーを中心にしたアルバム。自分と共にある大切なものについて、改めて考えさせられる。先着購入者特典:グレイト缶バッヂ。

【GLAY OFFICIAL WEB SITE HAPPY SWING】www.glay.co.jp/

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