TAHITI 80

ARTIST PICK UP

TAHITI 80

ポップス界にその名を刻み、日本のファンも大いに驚かせた傑作『パズル』から3年。
ついにリリースされるセカンドは、前作を上回るまさに"パーフェクト"なアルバム。
いったいTAHITI 80はどこまで行くつもりなのか…。

(初出『Groovin'』2002年9月25日号)

TAHITI 80-A.jpg 40年以上ものロック・ポップ史で、ファースト・アルバムがベスト・アルバムとされ、次作以降それを超えられない(または超えるものを作ったと評価されない)アーティストは数多く存在する。最初の一瞬の輝きがベストなのか、一歩一歩階段を登るようにベストに近づいていっているのか、その判断は多分に本人たちの意識とは別に、長い間のリスナーの評価によって決まっていったりするものであるが、本当にまれに傑作とされるファーストの後に、驚愕のセカンドを出してしまうアーティストも存在する。
 1999年にデビュー・アルバムがリリースされるやいなや、ミュージシャンをはじめとする耳の早い人たちの口コミによって数多くのフォロワーを生み出し、話題が話題を呼ぶ状況の中でワールド・ワイド・デビューを果たしたTAHITI 80。小手先のフェイクを使わず、曲そのものの魅力をシンプル&ビューティフルに潔く提示する事で日本でも圧倒的な支持を集め(また、秀逸なジャケット・アート・ワークも注目された)、タヒチ・サウンドとしか形容できないそのオリジナルな魅力で私たちに大きなインパクトを与えた。また、ツアーにおいても繊細なレコーディング作品からは想像できないぐらい、ライヴ・バンドとしての高いパフォーマンスをみせつけ、ここ日本でもサマー・ソニックや即ソールド・アウトになった来日公演での勇姿が記憶に新しいTAHITI 80。彼らが奇跡とも言える新作を手に戻ってきた。
 2001年5月からレコーディングを開始したというニュー・アルバムは、N.Y.とフランスでのレコーディングの後、ロンドンでビートルズを手がけたリチャード・ヒューソンによるオーケストラ・ストリングスのオーバー・ダブを経て、米ポート・ランドで最終ミックス。完成までに約1年の歳月を費やして制作された。プロデュースは前作でその手腕を発揮したIVYのアンディ・チェイスとTAHITI 80の共同作業となった。ストリングスやデジタル・サウンドという絵の具を使って大きなキャンバスいっぱいに絵を画くような、映像が頭の中に浮かぶ創造性あふれるサウンドが展開されている。アート・ワークは前作同様、パリの気鋭デザイナー、ローラン・フェティスのディレクション。4パターンのアート・ワーク(初回盤のみ)はTAHITI 80の世界観を見事なまでに表現している。
 若い頃は一瞬の輝きでいいとばかりに無茶をするものの、それが無理とわかるや、一歩一歩階段を登っていくか…と簡単に怠惰な路線変更をしてしまう私にはまばゆいばかりのTAHITI 80の輝き。彼らの階段はどこまで高いのだろうと驚嘆しつつ、今は心地よく、緩やかな高揚をもたらしてくれるこのニュー・アルバムがしばらく手放せないだろう。

Text by 作山和教(矢板店)

『ウォールペーパー・フォー・ザ・ソウル』
TAHITI 80-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICP-61946
¥2,400(税抜)
発売中

傑作ファースト・アルバム『パズル』のさらに上をいくTAHITI 80のニュー・アルバムがリリース。ストリングス、デジタル・サウンドの絶妙なトッピングが美メロに乗り、期待過剰なリスナーも納得の名盤。この秋のマスト・アイテムです。初回盤のみ4パターンのジャケットがあります。

【TAHITI 80 日本公式サイト】www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A014663.html

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