ラブハンドルズ

ARTIST PICK UP

ラブハンドルズ

匂い立つ男の体臭、激渋ブルース・フィーリング、
そのくせ耳について離れないメロディ。
ラブハンドルズ、待望の1stアルバム『BLUES POP MAN』リリース!!

(初出『Groovin'』2002年10月25日号)

ラブハンドルズ-A.jpg ラジオから毎日のように紹介されるJ-POPSの新人アーティストの中で、自分のツボにハマる曲を作る人というのがたまに出てくる。今までの経験からいうと、TRICERATOPSとか山崎まさよしとかaikoとかがそうだった。アーティスト情報など全く知らないのに、曲だけが1人歩きをして、自分の心の"良か曲リスト"の中にいつのまにか収まってしまうのである。そしてそのアーティストがブレイクして、テレビなどで見て初めて「ああ、この人の曲だったのか」となる。自分のツボにハマるということは、大抵他の人のツボにもハマっているわけで、そういう普遍的なメロディを書けるアーティストというのは、大体においてブレイクを果たしてメジャーとなっていくわけだが、今回紹介するラブハンドルズは果たして大ブレイクをするのか、非常に興味深いところだ。
とにかくそのラブハンの「スピード」という曲が、最近耳について離れない。まだラジオで2、3回聴いただけなのに、マイナーのちょっと切ない曲調と人間臭いヴォーカルが流れるたび「あ、またこの曲だ」と耳を澄ましてしまう自分に気付く。恐らくその理由は気持ちいいコード進行だとか、過去の自分の好きな曲の雰囲気に似ているとか色々あるだろうが、要は好みのメロディなのだと思う。特に、Aメロが2回繰り返された後の、同じ音が少しづつ下がって構成されているBメロ(歌詞が「少しずつ互いに観察し合う事がうまくなって来るのは〜」の所)はかなり気になる箇所で、個人的にはこの曲の命はここだと思うのだが。
 今回この原稿を書くにあたり、アーティストのことを調べてみたのでちょっと紹介してみよう。
ラブハンドルズ。1999年、兵庫県尼崎市出身の2人、若林利和(Vo,G)と溝下創(はじめ)(G)によって結成される。地元関西のライヴハウスやストリートで注目を集め、アマチュア時代に作った自主制作盤はライヴ会場のみで1000枚を売り上げる。2001年秋に上京し、横浜駅周辺でのストリート・ライヴでは交通整理が出るほどの大盛況ぶりで、着実に人気を集めていく。2002年1月『月がきれい』でメジャー・デビュー。名曲と名高い2nd『コンセプト』、続く3rdシングルが前述した『スピード』となる。そして遂に1stアルバム『BLUES POP MAN』を10/23に発表したばかりというわけだ。
ブルースのフィーリングと分かり易いメロディの合体といった意味の"ブルーズ・ポップ"というコンセプトを自ら立ち上げているが、まさに溝下創の書くとっつきやすいメロディに、ルーツ・ミュージックとしての泥臭さが上手く加味されて、何とも言えない人間味のある音楽として完成されている。楽曲も粒よりで、かなり本格的にブルージーな匂いを漂わせるものから、意外なほどポップな曲まで、バラエティに富んでいて楽しめる。しかしどこを切っても27歳の男2人の人間臭い感性が漂ってきて、聴き終わった後に心がちょっと温かくなる感じがこのデュオの最大の魅力かも。1回聴いたらなぜか忘れなくなるこの"味"をぜひこのアルバムで体験してもらいたい。

text by 高瀬康一(編集部)

『BLUES POP MAN』
ラブハンドルズ-J.jpg




CD
So-ffio Records
SRCL-5447
¥2,913(税抜)
発売中

フジテレビ系列ドラマ「アルジャーノンに花束を」挿入歌である「スピード」(英詞・アコースティックVer.)を含む全12曲。椎名林檎、スガシカオ等を手がける森俊之のプロデュースにより、メリハリの効いたサウンドがメロディの輪郭を更に際立たせている。美メロ度抜群の「ハナウタ」は必聴!

【ラブハンドルズ official website】http://www.luvhandles.jp/

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