ニック・カーター

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ニック・カーター

バックストリート・ボーイズのニック・カーターがソロ・アルバムをリリース!
彼の本当の姿があらわになった今作、
まさに"NOW OR NEVER"、今聴かずして、いつ聴くのだ!

(初出『Groovin'』2002年10月25日号)

ニック・カーター-A.jpg ちょっと気になる友達の1人、そんな存在だった人に決定的な恋心を抱いてしまう瞬間…。ニック・カーターのソロ・アルバム『ナウ・オア・ネヴァー』を聴き終えた私は、年甲斐もなくあの瞬間のときめきを思い出していた。
 もはや説明不要の世界的スーパー・グループとなったバックストリート・ボーイズ。昨年10月に発売されたベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ-チャプター・ワン』は、ここ日本でも120万枚を超えるセールスを記録した。また来日公演の23万5千枚のチケットは即日ソールドアウト、日本にやってきた彼らに女の子達が熱狂する模様は連日報道され、BSB旋風は社会現象の域に達していた。もちろん私もご多分に漏れず、ベスト・アルバムをゲットし、彼らの姿を追っていた1人である。それ故に、BSBの最年少メンバーであり、その爽やかなルックスで噂によると一番人気だというニックのソロ・アルバムにチェックを入れるのは当然の成り行き。とは言え、彼のパーソナルな部分に関しては実はあまり知識を持ちあわせておらず、"BSBのニック"のイメージを抱いたまま、まさに試聴という感じで聴き始めた。
 今作はまず、アルバムに先駆けてリリースされたシングル曲「ヘルプ・ミー」で幕を開ける。野性的でタフネスを感じさせるヴォーカルから一転、BSBサウンドを彷彿とさせるメロディアスなサビへとドラマティックに展開していく、ポップ・ロック・ナンバーだ。そしてこの曲はソロ・アルバムに対するニックの意思表明とも受け取れるのではないだろうか。彼の音楽的ルーツとなっているロックと、彼が実際にキャリアを積んできたBSBのサウンド・スタイルを融合させることで、現在のニックを形成する要素が全てあらわになっている。とにかくリアルな僕を見てくれ!そんな声が聞こえてきそうだ。だが、それが単なる自己主張に終わらず、最終的にポップやメロディアスといったところへ着地しているのは、彼のエンターテイナーとしてのサービス精神のせいだろうか。
 その他の収録曲も、BSBのサウンドの良きパートナーであるマックス・マーティンが書き下ろしたナンバーなどは、ニックの声質を知り尽くしたといった感じでファンも納得の仕上がりだし、ハード・ロック的なアプローチや80年代ポップスへのリスペクトも垣間見られ、彼の意外な一面が発見できるのも嬉しい。さらに、BSBのメソッドに則った"聴かせる"ミディアム・ナンバーもちゃんと用意されているという、まさに至れり尽くせりのアルバムだ。
 何よりも今作は、"ニック・カーター"という1人の青年そのものを表していると言っていい。BSBのメンバーの一員であることを誇りにしながら、新しい音楽を開拓しようとするチャレンジ精神と、彼のフレキシブルな感性が作り上げたオンタイムのプロフィールというわけだ。だからタイトルが示すとおり「今」聴くことに意味があるのかもしれない。
 好意が恋愛感情に変わるか変わらないかは、きっかけは様々だろうが、相手の本当の姿を見た瞬間に決定するのだと思う。ニックがこのアルバムで見せてくれたリアルな姿に、私は大きく惹きつけられたし、きっと多くの人がこの気持ちに共感してくれるだろうと思っている。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『ナウ・オア・ネヴァー』
ニック・カーター-J.jpg




CD+DVD
ZOMBA RECORDS/JIVE
ZJCI-10118
B ¥2,524(税抜)
発売中

バックストリート・ボーイズのニックの1stソロ・アルバム。ロック+BSBなサウンドで、彼のパーソナリティーを存分に表現している。日本盤にはボーナス・トラック2曲収録、秘蔵映像満載のDVD梱包パッケージは3ヶ月の期間限定商品。初回盤のみオリジナル・トレカ封入。先着特典はB2ポスター。

【バックストリート・ボーイズ 公式サイト(海外)】http://www.backstreetboys.com/

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