ジェニファー

ARTIST PICK UP

ジェニファー

楽曲は文句なしの高スペック!でもって15歳にしてこの歌唱力!
しかもキュートなルックスとくれば、ブレイクは時間の問題!
ハワイの歌姫、ジェニファーはタダ者ではないぞ。要チェック大・大・大必至だ!

(初出『Groovin'』2002年10月25日号)

ジェニファー-A.jpg いやはや、とにかく凄い!え、何がって?本作『Jennifer』の制作陣がですよ!楽曲提供者、アレンジャー、はたまたエンジニアに至るまで、名実共に凄腕中の凄腕揃いなんだもん。参考までに彼らが手掛けてきたアーティストを挙げてみると…ホイットニー・ヒューストン、セリーヌ・ディオン、ヴァネッサ・ウィリアムズ、ブランディー、ジェシカ・シンプソン、ブリトニー・スピアーズ…。その他、超ビッグ・アーティストの名がまだまだ続くところなのですが、字数考慮のため、以下省略という暴挙に出させていただきます。どうかご容赦を。
 でもって、当のジェニファーはというと、ハワイ州ホノルル出身の可憐な女の子、年齢15歳ときたもんだ。いいですか?弱冠15歳の女の子が、並みいるビッグネームを率いてデビュー・アルバムを作っちまったんですぜ?彼女のもとに錚々たるメンツが集結したのは何故?そしてジェニファーちゃん、アンタって一体何者?!
 その疑問を解く一端は、彼女に掲げられたテーマ、つまりコンセプトにあったんですねぇ。それは「良い音楽を作り、世の中の人に聴いてもらいたい」ということ。ベストの布陣と方法をとれば、誰にでも楽しんでもらえるサウンドを生み出すことが出来るはず…そうした考えが、超豪華な制作陣を集結させる呼び水となったワケです。でもちょっと待った。能書きはわかったけれども、その壮大なコンセプトを実現させるには、15歳の女の子だとちょっと役不足なんじゃないかなぁ。正直、私はそんな風に思いながら、肝心の音を聴いてみた次第でございます。
 結論。ジェニファーちゃん、すまんッ!アンタは凄い才能を秘めたアーティストだ!どことなくあどけない彼女の声は、役不足どころかすでに貫禄充分。少女としてのピュアな魅力とシンガーとしての有り余る実力、それらが見事に溶け合い、抜群の質感とオリジナリティーを醸し出しているのだ。それよりなにより、とにかく歌が上手い!特に高音域への伸びやかな発声は、聴いていて思わず身震いしてしまうほど。
 したがって、彼女が最強の楽曲群と互角に渡り合い、ひけを全くとっていないのも自明の理。本作を構成する全8曲は、サウンド・メイキングに関わったビッグネームの個性が存分に発揮されているものばかり。よって、ベースはあくまでポップスだけれど、実にさまざまなテイストがアルバム全体にちりばめられている。たとえば、リード曲「My Secret」はロックとポップスの融合を試みたものだし、3曲目と4曲目にあたる「Just Friend」「If You Believe」はどちらも美しいバラード、続く5曲目「That's When I'll Give Up (On Loving You) 」はアメリカン・ポップスの王道を行くサウンド、そして7曲目「Back On My Feet」はファンク色の濃いハウス路線だ。そうしたヴァリエーション豊かな曲を、彼女は実に見事に自分のモノにし、かつ完璧に歌いこなしているのである。
 15歳という年齢とキュートなルックスの作用によって、彼女はその立ち位置にアイドル的なものを求められることも多いだろう。しかし、私は敢えて彼女をアーティスト、そしてシンガーとして捉えていきたいと思う。最高のスペックは、最高のプロセッサーを備えてこそ、その真価が発揮されるもの。つまり、プロ中のプロが作り上げた最高のトラックは、最高のシンガーに歌われてこそ、その真価が発揮されるのである。最高のシンガー、それは計り知れない力量と無限の可能性に満ちたジェニファー、その人に他ならない。

Text by 秋野 櫻

『ジェニファー』
ジェニファー-J.jpg




CD
ビクターエンタテインメント
VICP-62036
¥2,500(税抜)
発売中

弱冠15歳にして有り余る実力を備えたハワイ出身のニューカマー、ジェニファー。彼女のデビューを飾る記念すべき1stアルバムは、USポップス界の大物アーティストを手掛けてきた超豪華な制作陣による全8曲で構成。楽曲のクオリティーはもちろん、その卓越した歌唱力に驚かされること間違いなしだ!


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