SUPER EGG MACHINE

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SUPER EGG MACHINE

前に進むことの難しさと大切さを訴えかける歌詞と、力強いサウンド。
SUPER EGG MACHINEの3rdシングル「波のよう」は、
ゆったりと寄せる白い波のようなミディアム・ナンバー。

(初出『Groovin'』2002年10月25日号)

SUPER EGG MACHINE-A.jpg 静かに寄せて返す波。目の前には広く蒼い海。その海に映る青い空。陽が落ちるのが早くなったこの季節、気が付けば時間は流れ、空はオレンジ色に染まり始めている。傾いた夕陽は、ゆっくりゆっくり沈んでいく。そんな時、人間はなんて無力で小さいのだろうと思い知らされる。同時に、自分の中にあった抱えていた問題も、沈む夕陽が一緒に持っていってくれるような、波がさらっていってくれるような気持ちになる。全ての生き物が海から誕生したのならば、母である海に、全ての生物はやがて帰っていくのかもしれない。今は陸に生きるものも、空を飛ぶものも。そして、陸で生活するものの中で、人間は最も多く海へ向かう生き物かもしれない。楽しい時、悲しい時や迷った時、人は海へ向かう。
 そんな風に、波や海や人間についてまで考えさせられた、3ピース・ガールズ・バンド、SUPER EGG MACHINEの3rdシングル『波のよう』。この4月に、1stシングル『Brandnew Way』でデビューした彼女達だが、今までの、疾走感溢れるR&Rな曲調から一変して、今作はゆったりとした、ミディアム・スローな曲になった。1stシングル「Brandnew Way」で勢い良く走り出し、続く2ndシングル「雨上がり、空の色」でさらにスピード・アップした彼女達が、ちょっと立ち止まってゆっくり歩くことで、さらに先へ進む力を貯めているようにも受け取れる。そんな、しっかりとした力強さが感じられる曲だ。美しいメロディー・ラインも耳に残る。さらに、ヴォーカルの藤井万利子による、独特の哀愁感溢れる歌詞の世界が、聴く者をぐっと惹きつける。その世界は、現実をありのまま表現したようでもあり、小さな事柄からイメージを大きく膨らませたようでもある。そして何より、耳から流れ込んだメロディーが、じんわりと身体全体に染み込んでいく。
 今回また新たな彼女達の一面を見ることができた。以前からライヴでも定評のあったという今作。今後に繋がる大事な1曲であることは間違いない。

Text by 二宮万里(編集部)

『波のよう』
SUPER EGG MACHINE-J.jpg



Maxi Single
トイズファクトリー
TFCC-89046
¥1,000(税抜)
発売中

3ピース・ガールズ・バンド、SUPER EGG MACHINEの第3弾シングル。元気で勢いのあった前2作とはイメージをガラッと変えた、ミディアム・スローなナンバーだ。しかしながらその中には前2作同様に、前へ前へと進んでいこうとするポジティヴな姿勢が表れている。


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