星村麻衣

ARTIST PICK UP

星村麻衣

新しいタイプのシンガー・ソングライターの誕生!
ポジティヴな歌を作り、ピアノを弾き、そして歌う「星村麻衣」。
多才なピアノ・ガールによるピアノ・ロック「Stay With You」。

(初出『Groovin'』2002年10月25日号)

星村麻衣-A.jpg 「もしもピアノが弾けたなら 思いのすべてを歌にして きみに聴かせることだろう」…有名な曲の一節だが、そう思ったことがある人は結構いるんじゃないだろうか。私もそんな1人なのだが、私の場合は、弾けるようになる機会を与えられていたにもかかわらず挫折した。元々自分から「やりたい」と思って始めたのではなく、気が付けば習うことになっていたのだが、それは言い訳にすぎない。単純に、一向に上達しないから面白くなかったのだ。自分の練習不足を棚に上げて、怒る先生が嫌い、だからピアノは嫌い…以下省略、と10年も続けずやめてしまった。思い出したくない事に限って何度も思い出されるもので、今でも時々「ちゃんとやっておけば今頃ピアニストだったかも。そこまでいかなくても、ピアノの先生くらいにはなれていたかも」と後悔する。
 そんなわけで、私は「ピアノが弾ける人」を尊敬している。他の楽器にしても同様だが、とりわけピアノについては、過去のトラウマ(?)のせいで異常に反応する。どれくらい弾けたら「弾ける」と言えるのかは定かではないが(私が弾けるのは唯一「猫ふんじゃった」だけだ)。
 さて、文頭に挙げた「もしもピアノが弾けたなら…」という一節をよく見てみると、ただピアノが弾けるだけではだめだということに気付いた。「思いのすべてを歌にして」さらに「きみに聴かせること」ができなければならないのだ。ここまでくると、もう努力云々という話ではない気がしてくる。そこには「才能」という、どうにもならない問題が発生するのだ。
 しかしここに、そんな多才なアーティストが現れた。現在21歳の「星村麻衣」だ。彼女はまさに、ピアノを弾きながら歌い、さらには作詞・作曲もこなす、新しいタイプのシンガー・ソングライターだ。
 彼女のデビュー作「Stay With You」は、ピアノによるクラシック調の前奏で始まる。うっとり聴き入ってしまいそうになっていたら、それが一瞬にして、躍動感のあるメロディーへと変化する。そこに彼女のエモーショナルなヴォーカルが加わることで、さらに音に激しさと厚みが増して、気が付けば、バンド・スタイルの演奏の中に、歌もピアノもすっかり溶け込んでしまっている。彼女が「弾きながら歌っている」ことまで忘れてしまいそうになるほど、とても自然に。
 そうなのだ。ピアノというとクラシカルなものだと思いがちだが、彼女のピアノはそれだけではない。たくさんの表情を持っているのだ。「弾く」というよりむしろ、(鍵盤を)叩く「ピアノ・ロック」なのだ。カップリング曲「Cycling」ではそのピアノ・ロックを徹底している。さらに、彼女の作る歌詞はポップ感に溢れていてポジティヴだ。そんな歌詞からも、弾む歌声からも、ピアノの音からも、星村麻衣というアーティストの性格が伝わってくる。
 改めて思う。「ちゃんとやっておけば、今頃私が星村麻衣だったのに…」自分の実現できなかった事をさらっとやってのけている彼女を羨ましく思いつつ、「ライヴをなによりも楽しみに待ってもらえるアーティストになりたい」と言う彼女の姿をそのうち見られることを期待したい。

Text by 二宮万里(編集部)

『Stay With You』
星村麻衣-J.jpg



Maxi Single
Sony Music Aassociated Records
AICL-1396
¥952(税抜)
発売中

ピアノを弾きながら歌い、さらには作詞・作曲も自らこなす、新しい時代の新しいタイプのシンガー・ソングライター、星村麻衣。ポジティヴな歌詞とエモーショナルなヴォーカルが、クラシカルかつロックなピアノ・サウンドに乗って、今までにない音空間を作り出している。

【星村麻衣 Official Web Site】http://www.hoshimuramai.jp/

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