YOSHI

BOYZⅡMENのウォンヤ・モーリスとコラボレーションしたデビュー・シングルで、
私たちの度肝を抜いたYOSHI。
いよいよオリジナル曲による2ndシングルをリリース！

（初出『Groovin'』2002年11月25日号）

　男性ヴォーカリストにとって色気は必要不可欠なものである、というのは私の持論だが、ここで言う色気というのがなんとも説明しがたく、いわゆる成熟した女性が醸し出すそれとは、少し性質が異なるものなのである。もちろんセクシーさと形容できなくもないが、男性が持つたくましさの中に隠しきれなかった、しなやかさや柔らかさと言った方がよいだろうか。そしてそれが独特のツヤを放ちながら表面化する瞬間を歌の中に感じたとき、私の心は奪われてしまう。しかし誠に残念なことではあるが、恋愛同様、そんな美しい出会いは度々あるわけではない。特にR&Bというジャンルにおいては、昨今の隆盛にも関わらず、ここのところサッパリご無沙汰の私なのである。
　さて、9月に発売されたデビュー・シングルが、BOYZⅡMENの世界的ヒット曲『I'LL MAKE LOVE TO YOU』のカヴァー、しかも同グループのメイン・ヴォーカルであるウォンヤ・モーリスとのコラボレーション作となったYOSHI。なんとも型破りな登場方法に面食らいながらも、私はしっかりそのヴォーカルの虜になっていた。さらに彼の音楽キャリアを見て驚愕。過去に共演したアーティストをざっとあげると、エリカ・バドゥ、K-Ci&JoJo、カール・トーマス、98°、ブライアン・マックナイト、平井堅等、錚々たる顔ぶれである。そしてこれは、彼がそういったアーティストに比肩しうる実力を持つ人物だという証明でもあるだろう。
　そんなYOSHIが、いよいよオリジナル曲による2ndシングルをリリースした。前作は確かに衝撃的ではあったが、やはりその実力の真偽が問われるのはオリジナルである。その今作は、両親への思いを歌詞に綴ったというミディアム・バラード。R&Bのメソッドに則った、広い意味でのラヴ・ソングと言えるこの曲を情感たっぷりに歌い上げる彼の声の中には、リスナーをうっとりさせる色気が滲み出ている。更に、デビュー作同様、今後も型にはまらないパフォーマンスをみせてくれるのでは？という期待を聴く者に抱かせる今作。J-POPリスナーはもちろんのこと、耳の肥えた洋楽ファンにも、ぜひともチェックしてほしい作品だ。

Text by 鮎川夕子（編集部）