RIP SLYME

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RIP SLYME

アルバム『TOKYO CLASSIC』の大ヒットも記憶に新しいRIP SLYMEが
またまたやってくれました!
JAZZYで軽快なトラック、4人のMCが繰り出すフロウはさながらジャム・セッション!

(初出『Groovin'』2002年11月25日号)

RIP SLYME-A.jpg 私はこの原稿を書くにあたり、RIP SLYMEが今度はどう楽しませてくれるのか、期待に胸を膨らませていた。昨年の同時期に発売された「One」のようなミディアム・チューンを予想していたところに、待ちに待ったニュー・シングルが届いた。タイトルは「BLUE BE-BOP」。さて、早速試聴。うーん、なるほど、そ、そうきたか…。こうして私の予想は見事に外れたのだった。
 さて、貴方は"BE-BOP(ビーバップ)"と聞いて何を連想するだろう?私の場合はどうしても、リーゼント、短ラン、龍の刺繍、スケ番、なめネコなど、80年代の不良にまつわるエトセトラを連想してしまう。そんなわけで80'sサウンドをRIP SLYME流にアレンジしたトラックで楽しませてくれるのだろうか、なんて期待を膨らませながら聴いてみた。…なんてこった。バイクのアクセルを吹かす音をサンプリングするとか、血絵毛羅津貯(チェケラッチョ)みたいに漢字表記にするとか、それらしいことは一切見当たらない。むしろその真逆な感じである。私の予想はまたもや見事に外れ、完璧に出来上がっていた、RIP SLYMEが短ランを着て踊っているイメージはガラガラと音を立てて崩れ去ったのであった。しばらく呆然とした後、勉強家である私はこの疑問を解決すべく、大学受験以来永い眠りについていた英和辞典を広げてみた。
 「be・bop」名詞、ビーバップ、[1940年代に米国で起こったジャズの一種]…またひとつ大人になったね。心の中で、もう1人の私が優しく語りかけた。更に、研究熱心である私はビーバップの特徴について調べてみた。曲の最初にテーマ部分を演奏し、その後はテーマ部分のコード進行に基づいて各自のアドリブ任せで演奏するということである。そして、このような形態に発展した過程には、楽器のテクニックを披露するジャム・セッションが中心にあったとされている。そんなふうにビーバップが作られた背景などを調べていくと、この「BLUE BE-BOP」にも共通する点がある。勿論サンプリングしているのがJAZZということは何より大きいが、「届かぬ想い」というテーマの下、にメンバーがそれぞれに個性的なフロウを持ち寄ってできた曲は、さながらジャム・セッションのようではないか。
 更にビーバップにはこうした背景がある。1940年当時、ビーバップは大衆の耳には単に騒々しい音楽としか映らなかったようだが、創造性を刺激された多くのミュージシャン達の間で大評判となり、それをファンが追いかける形で広まったらしい。同様に、現在メジャー・シーンにおいて幅広く受け入れられているRIP SLYMEではあるが、大衆の好みとは関係ナシに、メンバー自身の楽しみのために作られた曲が、結果が受け入れられているのではないだろうか?そう考えてみると、RIP SLYMEは音楽的に凄く高い所にいて、例えば孫悟空とお釈迦様の関係のように、私は何も知らずに掌の上で踊らされていたのかも…。今作を聴くと、そんなふうに彼らのキャパシティーの大きさを感じずにはいられない。
 と、そんなことをあれこれ考える私のようにマニアックな人も、別に深いことは気にしないよ、楽しければいいんじゃん!って人も、素敵にノッてしまうキャッチーなパーティー・チューンが、今作『BLUE BE-BOP』なのだ。

Text by 齋藤雅哉(鎌倉深沢店)

『BLUE BE-BOP』
RIP SLYME-J.jpg




Maxi Single
ワーナーミュージック・ジャパン
WPC7-10165
¥1,200(税抜)
11月27日発売

今作「BLUE BE-BOP」でもまたまたやってくれました!JAZZYで軽快なトラック、そしてキャッチーなフックを聴いたら思わず腰がスウィングするはず!「届かぬ想い」をテーマに、メンバーの個性と個性がジャム・セッションして生まれたマスターピース!

【RIP SLYME OFFICIAL HP】http://www.ripslyme.com/

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