ホイットニー・ヒューストン

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ホイットニー・ヒューストン

その存在はすでにディーヴァを超えている!
真のR&Bクィーン、ホイットニー・ヒューストンが4年ぶりとなるスタジオ・アルバム
『JUST WHITNEY...』をリリース。女王の女王たる所以をまざまざと見せつけた会心作!

(初出『Groovin'』2002年11月25日号)

ホイットニー・ヒューストンA.jpg 最近特に目に付くのが新人女性シンガーの活躍。R&B、ラテン、さらにはロックやパンクまで、様々なジャンルのサウンドをまとった女性アーティストたちがシーンを華やかに彩っている。そして彼女たちを含めた結構な数のシンガー達が歌姫と呼ばれているわけだが、もはやホイットニー・ヒューストンに関しては、その称号には収まりきらないのではないだろうか。もちろん彼女もデビュー当時は初々しい歌姫であったかもしれない。しかし今のホイットニーは彼女達とは明らかに格が違う。威風堂々と"女王"の位置に君臨するアーティストなのである。
 彼女が満たしている女王の条件をここで挙げてみると、まず血筋。母親は有名なゴスペル・グループ、スィート・インスピレイションズのメンバーだったシシー・ヒューストン(ちなみに彼女、アレサ・フランクリンとは友人関係にあったらしい)、叔母がディオンヌ・ワーウィック、DNAに刻まれたヴォーカル・センスは天性のものだろう。次に美貌。いつだって女王様は美しい容姿を備え、大衆をうっとりさせてくれる存在でなければならない。こちらは彼女のスクリーンでの活躍を見てもらえればわかるとおり、ハリウッドのお墨付きである。さらに誰もが認める才能。これはもう、あえて説明する必要が見当たらない。彼女がヴォーカリストに必要なすべてのスキルと能力を持ち合わせているのは周知の事実だ。
 さて、2000年に発表したベスト・アルバムが全世界で大ヒット、女王としての存在感を改めて世に知らしめたホイットニーが、遂に新作『JUST WHITNEY...』を完成させた。これはスタジオ・アルバムとしては4年ぶりのリリースとなる。彼女は女優活動を並行していたこともあって、リリース・ペースは決して早い方ではなかった。しかし、その完成度を見れば誰もが納得する作品を作り続けてきた。そして今作ももちろんそうである。
 例えば、夫であるボビー・ブラウンがプロデュースを手がけ、今作からのファースト・シングルとなっている「whatchulookinat」は、ホイットニーのツヤのあるシルキー・ヴォイスがしなやかにトラックの中を舞う、クール&ポップなナンバー。この曲のR&Bサウンドにほどよく盛り込まれた80'sテイストはボビーならではのものだろう。折しも80年代再評価の気運が高まっている中、非常にタイムリーなサウンドとも言える。また、プロデューサー陣には、このボビーの他にも、ベイビーフェイスやシェイクスピアといったR&B界の大御所を迎えているというから、楽曲のクオリティは推して知るべしである。
 そしてなんと今作では、デビー・ブーンが77年に歌って全米No.1を獲得した「ユー・ライト・アップ・マイ・ライフ」のカヴァーを披露している。精錬な響きを持った声の中に熱いソウルが感じられるホイットニーのヴォーカルがあの曲をどう料理しているのか、これは聴いてのお楽しみである。何よりこうした試みは、女王としての余裕と、揺るぎない自己があってこそ成せるものだろう。そういう意味でも、タイトル通り、「これぞ、ホイットニー!」なアルバムである。
 最後に、女王に最も必要なモノは人々の支持である。マリー・アントワネットしかり、女王の才覚は一国の運命をも左右するが、その是非を判断するのは他でもない大衆なのだ。私は今、このアルバムが多くの人々から愛されることを確信している。女王の女王たる所以をまざまざと見せつけた今作。彼女がいる限り、まだまだR&Bシーン、いや音楽シーンは安泰だ。

Text by 鮎川夕子(編集部)

『JUST WHITNEY...』
ホイットニー・ヒューストンJ.jpg




CD
BMGファンハウス
BVCA-21126
¥2,427(税抜)
11月27日発売

2000年にリリースされたベスト・アルバム『ザ・グレイテスト・ヒッツ』が、当然のことながら世界的な大ヒット。4年ぶりとなるスタジオ・アルバムは、プロデューサーに夫であるボビー・ブラウン、ベイビーフェイスやシェイクスピアといったR&B界の大御所を迎えて制作された。

【ホイットニー・ヒューストン 日本オフィシャルサイト】http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/BV/whitneyhouston/

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