愛内里菜

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愛内里菜

冬の澄んだ空気のように、まじり気のない"君"への想いを綴った
シリアスな歌詞が胸をうつ、ミディアム・ポップ・チューン。
愛内里菜の新境地ともいえるニュー・シングル『Deep Freeze』。

(初出『Groovin'』2002年11月25日号)

愛内里菜-A.jpg 2002年に入り、現在までにシングル3枚、今もロング・ヒットを続けている2ndアルバム『POWER OF WORDS』をリリースした愛内里菜。彼女は、今年4枚目となるシングル『Deep Freeze』で新境地を探し当てたのかもしれない。今までの、明るく前向きなメッセージ性を強く前面に押し出していた愛内里菜は確かにここにはいなかった。「毎日はもうすでに汚れてて」「私のため 汚れた世界壊そうとしてくれた」これらのフレーズが印象に残る。世の中を震撼させる無差別テロや殺人事件、異常気象と騒がれ、すっかり汚れきってしまった空、そしてそこから降る雨、金と汚職にまみれた政治への不信…一部の人達が思想、快適さ、平和を求めて築き上げた社会に、今私達は首をひねり、頭を悩ませている。そういった人の心を惑わすモノや、自分自身を深く心の中に閉じ込めてしまうような恐るべきモノまでも、彼女は自分の言葉で表現したかったのだと思う。
 今回の歌詞やテーマについて、彼女はインタビューでこう語っていた。「"急ぎ過ぎたこの世の中の過ち"と"遠ざかってゆく本来あるべき愛の姿"、人が人の心にまっすぐに触れることが少なくなった今の時代は、自分の思いをうまく言葉にできなかったり、誰にでも語ることができないような人が溢れていて、人情や思いやりなんてものも欠けてしまい、無残にも人の命が弄ばれていたりする。里菜は、生きていくことから逃げない強さを見つけ出しあっていくのが、あるべき人の姿なんだと思う。だから自分が惨めだと思う日々が続く時にも、不器用にしか生きることができないと思う日々が続く時にも、差しのばされている救いの手を拒まないで欲しい。自分の心の中にほんの少しでもあたたかい部分がある限り、そしてそれを忘れない限り、相手に迷惑だけをかける人なんていないんだ。存在意識のない人間、必要とされない人間なんてこの世の中にいないんで!!ってことを伝えたかった。」
 『Deep Freeze』というタイトルだけを見ると、物事を深く閉じ込めて封印(凍結)させてしまう、冷たく閉鎖的なイメージがあるかもしれない。それに、目の前の現実をありのままメッセージに織り込んだ今作は、一聴すると前作『Sincerely Yours/Can you feel the POWER OF WORD?』とは全く別の表現になっているように思える。だが、その根底にある、相手を支えてあげようとしているけど、それが逆に自分も支えられているんだという感謝の気持ちは同じだと思う。そしてそういった気持ちを、これまで支えてくれた多くのファンの人達に伝えたかったのではないか。
 また、カップリングの「White X-mas Song」は愛内里菜初のクリスマス・ソング。やわらかなピアノの旋律にのせた彼女の包容力のあるファルセット・ヴォイスが、これからの季節にピッタリのナンバーだ。ちなみに、タイトルの"X-mas"の綴りは「X」が十字架を意味している記号でキリストを表し、「mas」はミサのこと。だから本来は"X'mas"ではなく、"X-mas"が正しい表記なんだそう。
 さらにオンエア中のテレビ朝日系アニメ『釣りバカ日誌』エンディング・テーマとなっている「風のない海で抱きしめて」は来年リリース予定。こちらも乞うご期待!

Text by 相繁健一郎(聖蹟桜ヶ丘店)

『Deep Freeze』
愛内里菜-J.jpg



Maxi Single
GIZA studio
GZCA-7002
¥952(税抜)
発売中

初回限定特典としてジャケット裏に封入される"LOVE里菜X-masフォトカード"は、クリスマス・ムード溢れる愛内里菜の撮り下ろし写真の裏に直筆メッセージ入りの貴重なアイテム。メッセージは複数種類あるので、どれが当たるかは開けてみてのお楽しみ。また、先着購入特典はジャケット・ポスター。

【愛内里菜 OFFICIAL WEB SITE】http://www.rina-aiuchi.com/

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