ザ・ダットサンズ

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ザ・ダットサンズ

羊とキウイの国からこんにちは! 
ここまで天然なハード・ロック・フリークって赤面しちゃうくらい恥ずかしい?
いや、OKでしょ。ザ・ダットサンズ、ロン毛をなびかせ日本上陸! 

(初出『Groovin'』2002年12月25日号)

 とにかくCDを大音響で聴いてみて欲しい。冒頭から物凄いパワー、「この勢いってナニ?なに食べてんの?」って思うほどに衝撃だ。忘れかけていた心のどこかの『ティーン・ネイジャー魂』が呼び起こされるほどの。ほら、もうワクワクしてきたでしょ。
 今年に入ってすぐロックン・ロール、ガレージへの回帰・復興が始まった。早速コアな洋楽ファンでなくてもその名を知ることとなったザ・ストロークスやホワイト・ストライプス。彼ら以外にもたくさんのバンドがシーンに台頭してきている。「ザ・なんとかズ」という新人さんが、このごろ多いこと、多いこと。シンプル・イズ・ベスト、飾り気のない直球のバンド名がソリッドでたまらなくカッコイイのだけれど。そうそう、このバンドも「ザ・ダットサンズ」だし。ただ。ザ・ダットサンズが他のガレージ・バンドと違うところを知って欲しい。一番の違いは、どんな写真が載るのか今の時点ではわからないのだけれどメンバー4人が長髪。長髪=ハード・ロック、その図式が彼らには当てはまるということ。つまり、ベースは「ハード・ロック(+パンク)」、それをガチャメチャにプレイして…、勢いだけでも持っていけるバンドなのだ。
 「メインの産業は競走馬の飼育」だという田舎町、ニュージーランドはケンブリッジ出身の4人。ここ日本でもそうだけど、田舎って意外とハード・ロック人気が高い。彼らもその通りで「情報源はラジオ。ディープ・パープルやレッド・ツェッペリン、AC/DCとか聴いてた」そうだ。しかも周囲の情報が少ないなかで、徹底して貫かれたハード・ロック志向。これは純度の高い本物というワケ。ギラギラとしたエネルギーと、とにかく繰り返されるシャウト。これでもかと鳴らされるギター・ソロはバカテク一歩手前。メンバーの可愛い顔に騙されると返り討ちにあうよ、きっと。地元で結成して7年、南半球から飛び出して、世界中で圧巻のライヴ・パフォーマンスを繰り広げる彼ら。一躍、ロック・シーンで脚光を浴びることとなった。なんでも熾烈なデビュー争奪戦の中で、アラン・マッギ−が空白の小切手を渡して「好きな金額を書き込んでいいから!」と言って口説いたとも噂されているほど。デビュー前にしてすでにNME誌の表紙を経験ずみ、っていうのも話題性充分でしょ。
 ザ・ダットサンズに必要なモノ、あとはもうリスナーの判断だけ。クールと思うか、思わないかは人それぞれだけど、誰もの意識下で今後の動きが気になるバンドになるはず。「一度ライヴを見てみたい!」などと期待に胸が膨らんだり(来年は日本にも来てくれるかも!もう少しだけ待って)。それってステキなことじゃないかな。音源は一足早く輸入盤が上陸するけれども、国内盤にはボーナス・トラックを収録予定。もちろん2つとも買ってしまうのもOK、かな。
 最後にひとつだけ。笑っちゃうのがメンバーの名前。バンド内では名字禁止らしく、全員「○○・ダットサン」と名乗っている。わかりすぎるくらいに「ラモーンズも好きでしょ」って感じだ。でもそういう、誰しもが持っていた純粋な衝動を今も鳴らし続けていることに、このバンドの凄さを知った。 

Text by 丸山雅代(スーパーモールいせさき店)

『ザ・ダットサンズ』
ザ・ダットサンズ-J.jpg




CD
V2 Records Japan
V2CP-143
¥1,980(税抜)
発売中

南半球、NZ出身のハード・ロッキンな長髪4人組。メンバー全員が「○○・ダットサン」と名乗り、轟音ツイン・ギターとシャウトをぶちかましつつ、1曲あたり3分半。パンクとメタルの強引なドッキングで生まれた奇跡のバンド。ガンズを聴いて大人になった人にオススメします。

【ザ・ダットサンズ 公式サイト(海外)】http://www.thedatsuns.com/

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