Tina

冬の空気を浄化するような切ないバラードをリリース！
女性なら誰もが共感できる気持ちを歌った
5ヶ月ぶりの新曲「ココロノカタチ」。

（初出『Groovin'』2002年12月25日号）

　Tinaと言うと「バラードではない」印象だと思いますが、今作「ココロノカタチ」からはソウルフルな声と楽曲とTinaの持つ雰囲気全てがマッチすることで生まれる、新しい彼女のイメージが感じられてきます。何より今作は、その内容がどんな女性の心にも宿ったことがあるであろう気持ちをしっかりと映し出しているからです。本当は誰もが持ちうる素直で女性らしい気持ち。それをこんな風に表現できることを、聴いた人はきっとうらやましく思うはずです。
　そんな「ココロノカタチ」だからこそ、共感する女性はきっと多いのではないかと思われます。まず、歌詞だけを読んでみる…声に出さずに読むのと声に出して読むのとでは、全然違った感じになると思うんです。声に出すとちょっぴり照れくさいような気持ちがたくさん表現されているので、なかなか感情を込めて読めないだろうけど、メロディーに乗せてしまえばどんな言葉も自然に表現できるから不思議です。「ココロノカタチ」は、そんな切ない想いを歌っています。私は、この歌に綴られている想いには共感できるし、こんなタイプの恋愛をするであろう、と感情移入してしまいましたね。カラオケで歌ったら感情込めて歌い上げるでしょう、きっと（笑）。しかし、Tinaの歌声の世界に入った方が、もっと深い想いに浸れていいのだと思います。嬉しい時は明るく楽しい歌、悲しい時は思い切り泣ける歌、みたいにその時の気持ちに合った聴き方をするのが私流。この「ココロノカタチ」を聴いて思い浮かんだのは、まさに今、この曲を聴かせてあげたい友達がいるなぁ〜ということ。彼女に聴かせたら、思いっきりこの曲の中にどっぷり浸かりながら、なかなか思い通りにならない恋愛をまた続けていくのかなぁ〜なんて思いました。
　そんな風に、Tinaの歌声とこの曲が誰かの恋愛の中にあったりして、想い出となって生き続けていくかもしれない…そう思ったら音楽って本当に素晴らしいな、と改めて感じるのです。

Text by 知久裕乃（磐田店）