キャロル

SPECIAL SELECTION

キャロル

伝説のロックン・ロール・バンド"キャロル"の軌跡を体験できる!
デジタル・リマスタリングされ音質も向上した究極のベスト盤と、
75年4月日比谷野音での解散ライヴ映像がDVD化され遂にリリース。これは事件です。

(初出『Groovin'』2003年1月25日号)

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 キャロルの新編ベスト盤が出る。同時発売で伝説の解散ライヴもDVD化されリリースされるというのだから、これはちょっとした事件だ。もちろん矢沢永吉=永ちゃんが、キャロルのリーダーだった事を知る人ならともかく、最近の若い方には「キャロル、WHO?」って感じだろうから、ここはキャロルがどのくらい「凄かった」かを記しつつ、理屈ぬきで楽しめるキャロルをお買い求めになる事をおすすめしたい。
 キャロル、それは70年代日本が生んだ最強のロックン・ロール・バンドである。活動期間こそ短かったが、彼らは日本において「テディ・ボーイ文化」を定着させ、しかもロックン・ロールを媒介に成り上がることの「美しさ」すら教えてくれた。デビュー当時から永ちゃんや、もう1人のキー・パーソンであるジョニー大倉は、良い意味で「メジャーになって金稼いで人間味あふれる歌をつくって」という割り切りがあった。今でこそ「だから?」と言われてしまうかもしれないが、まだJ-POPなんて概念などなく、ロックはマイナーな存在だった当時、こうしたメジャー志向な真っ向からの発言は新鮮だったし、「売れているもの=悪」「売れていないもの=善」という風潮の中にあって、キャロルがどこまで突っ張るのか、ロック大好き高校生(の僕)は興味津々だった。それほど迄に彼らはセンセーショナルだったし、永ちゃんやジョニーは存在自体が際立っていた。もちろん静かなギタリスト内海利勝、タイトなリズムを紡ぎ出すユウ岡崎もイカシていた。
 そのイデタチたるや、皮ジャンに皮のパンツ。ハンブルグ(下積み)時代のビートルズを思わせ、10年、20年後、彼らが日本におけるビートルズに至る可能性を窺わせた。実際は(ビートルズのように)熟成解散することなく、キャロルは発展途上解散をしてしまったが、ビートルズが最後期にビル屋上で突然ライヴを行ない話題となった故事?に呼応するかのように、日比谷野音での解散ライヴ(今回のDVDはこの映像)では最後にステージ上で火災が起きるという「ハプニング」を見せてくれた。そしてビートルズがそうであったように、彼らは伝説となり、永ちゃんは、ソロに転向。その後、30年近くロックン・ロールしている。まさに、E・YAZAWAは「ロックンロールのナショナル・ブランド」である。そして、その始まりも、この新編ベスト盤とDVDが余さず教えてくれる。「ルイジアンナ」「ヘイ、タクシー」「ファンキー・モンキー・ベイビー」など名曲の数々を体験して欲しい。
 思い出すなぁ。73年春、デビューしたばかりのキャロルを間近で見た日。ポマードで固めたリーゼントの凶暴な臭い、突き刺さるような音。そして、その奥にある恥ずかしそうな「優しさ」みたいなもの。いやぁー、たまんねー、キャロル。今だからこそ、よろしく。

Text by 鷲尾剛(すみや本社ソフト営業部MDM)

『ザ★ベスト』
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CD
ユニバーサル J
[初回盤]UMCK-9025 ¥3,048(税抜)
[通常盤]UMCK-4048 ¥2,913(税抜)
発売中

矢沢永吉が率いる最強のロックン・ロール・バンド、キャロル。活動期間こそ短かったが、彼らは日本において「テディ・ボーイ文化」を定着させ、ロックン・ロールを媒介に成り上がることの「美しさ」すら教えてくれた。新編ベストは怒涛の25曲収録。初回盤は特典DVD付スペシャル・パッケージ。先着特典はポスター。よろしく。

『燃えつきる=キャロル・ラスト・ライヴ』
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DVD
ユニバーサル J
UMBK-1524
¥3,500(税抜)
発売中

矢沢永吉が率いるキャロルの日比谷野音ラスト・ライヴは、ステージ上で火災が起きるという「ハプニング」で有名。この伝説のライヴに加え、従来のビデオ版にレアなボーナス映像をプラス、メンバーのインタビューやバイクでの疾走シーンなど見所も満載。よろしく。

【キャロル 公式サイト】http://www.universal-music.co.jp/carol/

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