アン・ルイス

ARTIST PICK UP

アン・ルイス

「女」を歌わせたら右に出る者はいない!
約5年振りとなる待望のオリジナル・アルバムには、
アン・ルイスにしか体現できない大人の女性のロック魂がぎっしりと詰まっている。

(初出『Groovin'』2003年1月25日号)

 いつの時代も「私は私よ」というポリシーのもと、自由に、そしてしなやかに我が道を行くアン・ルイス。流行り廃りが目紛しく移り変わる日本の音楽シーンにおいて、これほど圧倒的な存在感を放ち続けていられるアーティストも珍しいのではないだろうか。ギリギリの感情と熱い本音、そして深い慈愛に満ちた女の性(さが)、それらをあそこまでストレートに、かつ華やかに歌へと昇華できるシンガーは、彼女をおいて他にはいない。またそれこそが、長年ファンに愛され続けている所以でもあるのだと思う。
 そんな彼女の、約5年振りとなる待望のオリジナル・アルバム『Girls Night Out』が遂に完成。懐かしの「女・Tonite」や山下達郎氏による名曲「Shampoo」のセルフ・カヴァーを含む全10曲は、言うまでもなく彼女の独壇場だ。
 本作は、かつて自らの音楽を「Kayo-Rock」と称していた彼女ならではの巧みなミクスチャー感と、より輝きを増した独特のオリジナリティーに溢れている。それは、マキシ・シングルとして先行リリースされたミディアム・ナンバー「DRIVE」を聴けば一目瞭然。この曲はミクスチャー・ロックの雄、incubusの全米ヒット・チューン。歌詞の日本語訳を彼女が手掛け、最高にクールなサウンドに仕上がっているのはもちろん、お馴染みのハスキーがかったシブいヴォーカルで、カヴァーながらも楽曲を見事に自分のモノにしているのである。歪みの利いたヘヴィーなギター・サウンドと4つ打ちのキック音がガッチリと手を組んだアグレッシヴなナンバー「MOXIE GIRL」も、「ミクスチャー」という本作のキーワードを雄弁に物語る曲のひとつだ。また、フランク・シムズ、キム・ブラードといった名うてのミュージシャンがサウンドワークに参加しているのも見逃せない聴きどころ。
 さまざまなサウンドをどんなにミックスしようとも、絶対に揺らぐことのない彼女の強固なオリジナリティー。「女」を歌った曲であれば、それはなおさら際立つ。本作には、アン・ルイスにしか体現できない大人の女性のロック魂がぎっしりと詰まっている。期待通り、いや期待を遥かに超えるレベルで。

Text by 秋野 櫻

『Girls Night Out』
アン・ルイス-J.jpg




CD
トライエム
MOCR-3008
発売中
¥2,857(税抜)

今なお強力な存在感を放つアン・ルイスの、約5年振りとなる待望のオリジナル・アルバム。先行マキシとなったincubusのカヴァー曲「DRIVE」をはじめ、懐かしの「女・Tonite」、山下達郎氏による名曲「Shampoo」のセルフ・カヴァーを含む全10曲を収録。文句なしにカッコイイ1枚だ!

【アン・ルイス 公式サイト「PUKKABAKKA」】http://www.pukkabakka.jp/

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