ロック名盤シリーズ〜ブッダ/カマ・ストラ編
遂に実現!60年代後半を鮮やかに彩ったブッダ/カマ・ストラの名盤がリイシュー!
中にはあの世界初CD化の作品も!
時代の空気と共に、ヒップな音とポップな魅力が、今甦る。
60年代も後半を迎え、ロック・グループの台頭と共にアメリカの音楽シーンが多用化していった頃、N.Y.をベースに活動し注目を集めた2つのレーベル…ブッダとカマ・ストラ。フォーク・ロックやバブルガムといったサウンド・スタイルを取り入れ、一躍若者の支持を集めることになったこのレーベルからは、ラヴィン・スプーンフルやイノセンス、トレイドウインズ、オハイオ・エクスプレス、レモン・パイパーズ、1910フルーツガム・カンパニー等の作品が発売され、ヒットを記録した。
さて今回発表された6タイトルは、これら2つのレーベルの代表作とレア盤として支持の厚いアルバム、そして注目のコンピという取り合わせ。世界初CD化もあり、嬉しいラインナップだ。まずは、今回新たに長門芳郎氏により監修されたコンピ『魔法のビート』。これは今までのこの手のCDとは一線を画し、日本初・世界初CD化音源を多数含むファン待望の内容だ。中でもダニー・コーチマーが在籍した、キング・ビーズ(ジョー・ママの前身)や、山下達郎氏が在籍したシュガー・ベイブのバンド名の由来ともなったヤングブラッズの「シュガー・ベイブ」など、ラヴィン・スプーンフルとその当時の関連アーティストを中心に、一気に聴くことが出来る興味深い内容。
そしてラヴィン・スプーンフルの65年の1st『魔法を信じるかい?』と、66年の2nd『デイドリーム』だが、特にボーナスの未発表テイクにはデモも含まれ、彼らの曲がどのような過程を経て完成したのかを窺い知ることができる点でも注目に値する。また「魔法を信じるかい?」はディズニー映画「ピーターパン2:ネバーランドの秘密」の挿入歌としてBBマックにより歌われ、これには元スプーンフルのジョン・セバスチャンが参加しているという話題も。
そしてスプーンフルの弟分としてデビューしたのがソッピーズ・キャメル。フォーク色とポップな香りを独自のバランスで混ぜたサウンドは注目を集め、66年にデビューし、翌年1stアルバム『ハロー・ハロー』を発表。今回はアルバム未収録シングル1曲を追加収録。
またソフト・ロック・ファンからCD化の要望が多かったソルト・ウォーター・タフィーの『ファインダーズ・キーパーズ』(68年)が、世界初CD化されたのは特に嬉しいところ。ポップな中に様々なサウンド・エッセンスを詰め込んだ唯一のアルバムには、影響を受けたJ-POPSミュージシャンも多い。ロッド・マクブライエンのセンスが光る名盤だ。アルバム未収録のシングル2曲を追加。
もう1枚は70年にトーケンズが発表した『ボス・サイド・ナウ』。タイトル通り、あのジョニ・ミッチェルの曲をはじめ、ビーチ・ボーイズの「ドント・ウォリー・ベイビー」から自身の「ライオンは寝ている」のセルフ・カヴァーまで、様々なタイプの曲をトーケンズ風に料理した貴重盤で世界初CD化。アルバム未収録のシングル2曲の追加も嬉しい。
60年代後半〜70年代を鮮やかに彩ったブッダ/カマ・ストラの作品は、当時の眩しい光の輝きとベトナム戦争といった影の部分が交錯し、独特の魅力ある色合いを放っている。そしてそこには今だからこそ評価されるべきアイディアの煌めきと楽曲の美しさが、沢山詰まっている。
(初出『Groovin'』2003年1月25日号)
Text by 土橋一夫(編集部)
V.A.
『魔法のビート〜グッド・タイム・ミュージック』
CD
BMGファンハウス
BVCM-31089
発売中
¥2,427
ラヴィン・スプーンフル
『魔法を信じるかい?』
CD
BMGファンハウス
BVCM-37384
発売中
¥2,000
ラヴィン・スプーンフル
『デイドリーム』
CD
BMGファンハウス
BVCM-37385
発売中
¥2,000
ソッピーズ・キャメル
『ハロー・ハロー』
CD
BMGファンハウス
BVCM-37381
発売中
¥2,000
ソルト・ウォーター・タフィー
『ファインダーズ・キーパーズ』
CD
BMGファンハウス
BVCM-37382
発売中
¥2,000
トーケンズ
『ボス・サイド・ナウ』
CD
BMGファンハウス
BVCM-37383
発売中
¥2,000